2008年11月29日土曜日

オバマ次期大統領にIVAWが公開書簡を送付した

(以下の日本語訳:イラク市民レジスタンス連帯委員会)

ケリー・ドーアティ Kelly Dougherty

元州兵陸軍曹長   戦争に反対するイラク退役軍人の会会長

 IVAWのメンバー、支援者のみなさん

 11月4日、アメリカ国民は人種や性別や階級や宗教の境界線を越えて集まり、アメリカ合衆国大統領にバラク・オバマを選出したのであり、これはアメリカにとって歴史的な瞬間を作ったのである。

 次期大統領に当選したオバマの選挙戦の経過の中で、変化が可能だという希望に多くの人たちが心を燃え立たせたのであり、我々はその希望を共有する。この投票がいかに重要なものであるかをよく考えるにあたって、我々の闘いは投票の夜で終わりはしなかったのだと言うことを思い起こすことが重要である。真の変化は、どんな個人の行為によって起こったものでも決して無く、最後の最後まで闘いをやり抜く勇気と信念を持つ人々によって草の根からの組織化の努力をむすびあわせることを通じて初めて起こったのである。

 過去4年半にわたって、戦争に反対するイラク帰還兵士の会は、仲間の帰還兵士や、アメリカ軍の兵士や、アメリカ国民大衆や、全世界に対して実際に我々の変化のメッセージを届けてきた。我々のメッセージはずっと同じである。すなわち、今こそイラクから全ての占領軍を即時撤退する時だ。今こそイラクの民衆に直面する死と破壊を終わらせ、イラクの民衆に必要なものの対策をする時である。今こそ退役軍人が必要としていてアメリカに奉仕している間に受け取ってきた保護と給付金を提供する時である、と。

 ここ数ヵ月間、我々は政党に対して申し入れをすることに焦点を当てることを拡大してきたのであり、今後数ヶ月間アメリカ合衆国の新大統領及びそのスタッフとの公開の対話が継続することを期待している。我々は、オバマ次期大統領に2007年8月に彼が「この戦争を終わらせることは、私が政権についた時の最初の優先事項になるでしょう」と演説したことを思い出させるだろう。

 我々はアメリカの経済危機が最優先事項にならねばならないということを理解し憂慮を共有しているが、多大な出費を要するイラク占領-それは単純に言って継続することが不可能な莫大な経済的負担である-を継続していては、アメリカの経済を立ち直らせることはできない。

 焦点がイラクでの戦争からアフガニスタンでの戦争に変わっている事を知っているが、我々は、オバマ次期大統領には、アフガニスタンの占領を拡大するというどんな決定をする前にも、この紛争についてアフガニスタン民衆とアメリカ軍の帰還兵士の声を聞くように勧める。

 イラクとアフガニスタンの戦争の帰還兵士として、我々は戦争の最初の犠牲者こそが真実なのだということを、自らの経験を通じて見てきた。我々は又、兵士や帰還兵士が自らの声を見つけ自分の話を語る時に存在する力が、戦争の誤った栄光と英雄主義の中で失われた真実をよみがえらせるのを見てきた。

 これが戦争に反対するイラク帰還兵士の会が広げ続けているメッセージであるのは、一人の政治家や一つの政府や一つの政党が我々の求める変化を作り上げると言うことはないだろうからである。そうではなくて、今こそ我々がその変化を獲得するための組織化を集団的に継続する時なのである。バラク・オバマの当選は、闘いの中に新鮮な機会を与えているが、アメリカの歴史が教えるとおり、戦争と占領が終わる時には、民衆と民衆の軍隊が本当の力を手中にしているのである。我々は自らの目的達成のために闘いを継続し、そしてあなたが我々に合流するように求め続ける。

 イラク占領を終わらせるために兵士と帰還兵士を組織し続けるためにはあなたの助力が必要である。今日、寄付をして、IVAWの1400人以上のメンバーの声を広げる手助けをしていただきたい。

 継続した支援に感謝いたします。


********** 反戦イラク帰還兵の会からオバマへの公開書簡*******

次期大統領オバマ氏への公開書簡

親愛なるオバマ次期大統領殿

 反戦イラク帰還兵の会(IVAW)は貴下の勝利をお祝い申し上げます。またジョン・マケイン上院議員とオバマ氏に対し、国を思う気持ちからのひたむきな献身と現在我が国が直面している深刻な諸問題を是正したいとの願いを称賛し敬意を表します。

 私たちは、火曜の夜にシカゴのグラント・パークで貴下が話された元気の出る言葉-すべての米国人に未来への希望をもたらしたにちがいない言葉に感謝します。
 しかしながら、私たちは、貴下が2007年11月の演説で多くの米国民に-特に米軍内で服務している米国民に-与えられた希望のことも覚えています。貴下は「私が(大統領に)就任したら、この戦争を終結させることが最優先課題となるだろう。イラクにおいては軍事的解決はありえない。イラクの指導者のみがイラクにおける内戦の中心に存在する苦しみを解決することができる」と話されました。

 その演説以降、我が国では多くの変化があり、現在、米国民の間で支配的な感情は、行き詰まった米国経済の建て直しこそが次期大統領の最優先課題とならねばならない、というものにちがいありません。私たちはそのような関心を理解しますが、一方、この経済の行き詰まりは、莫大な費用がかかっているイラク占領を継続する限り是正できないと確信しています。それは、持続することはとうてい不可能な巨額の負担となっています。米国民は毎週、何十億ドルもの資金を占領に投じていますが、その占領は私たちの財政を圧迫し、私たちの敬意と安全と何千人ものイラク人男性、女性、子どもらの命を奪っています。

 私たちは、貴下がもてるすべての政治的外交的圧力を行使して、占領を一刻も早く、そして完全に終結させることを心から要請します。未来は誰にもわかりませんが、次のことはわかっています。私たちの兵士は終わりがないかに見える占領に疲れ果て、家族のもとへの帰還を望んでいます。

 そして、我が国の勇敢な男女が帰還するとき、心身に受けた傷を癒すために、彼らに対して完全な諸給付と行き届いた医療ケア(心の健康への処置を含む)を提供することが必要です。彼らは少なくともそれだけの処遇に価しますし、そうすることは国としての義務です。

 また私たちは、イラク国民が耐え続けている甚大な人道上の危機を無視されることがないよう要請いたします。米国が侵略してから、400万人以上のイラク国民が故郷を追われ、あるいは難民となっています。イラク国民の死亡者は最も正確な数字で60万人を超えると推定され、さらに何万人もが心身に傷害を被っています。私達が犯した正当化不可能な侵略と占領の後遺症に対して、イラク国民は今後何世代にもわたって対処し続けねばなりません。私達がイラク国民の生命、社会基盤および文化にもたらした損害に対して賠償を行なうことは我が国の義務である、とIVAWは確信しています。

 私たちは、イラク戦争からアフガニスタンへと焦点が移行しつつあることを認識しています。同時に、アフガニスタンのカルザイ大統領は戦略の変更を求めており、アフガニスタン国民は、米国による空襲で殺された愛する家族の死を悼んで喪に服しています。貴下に要請します。アフガニスタンにおいて軍事力を増強するといういかなる決定にも先立って、この紛争に関するアフガニスタン国民と米国帰還兵の声に耳を傾けてください。

 私達は貴下に対し、イラク占領を終結させ、米国経済を修復することを要請します。また、そうすることによって、貴下は、「米国の新たなリーダーシップの夜明け」の到来を-若者と老人、貧者と富者、民主党員と共和党員、黒人、白人、ヒスパニック、アジア系、ネイティブ・アメリカン、同性愛者、異性愛者、障害者、非障害者など、すべての米国民に恩恵と希望をもたらす「変化の決定的瞬間」が到来したことを、事実で示すことになります。

 貴下はかつて「変化は上から起こるのではない、変化は草の根の人々の活動から始まる」と言われました。私達も同じ見解です。まさにそのために、反戦イラク帰還兵の会はイラク占領の終結・帰還兵に対する医療ケアと諸給付の実施・イラク国民に対する賠償を求めて、これからも組織化を続けていきます。これらは、貴下と私たちが友に力を合わせて対処できる領域であると考えています。

敬具
反戦イラク帰還兵の会

******* 以下原典 ********
An open letter to President-elect Obama

Dear President-elect Obama,

Members of Iraq Veterans Against the War congratulate you on your victory,and we admire and respect both Senator John McCain and you for your strong,patriotic dedication and desire to fix the deep problems our country now faces.

We appreciate your inspiring words spoken at Grant Park in Chicago on Tuesday night - words which should give all Americans hope for our future.
But we also remember the hope your words gave to many Americans in an August 2007 speech - especially those serving in our military: "Ending this war will be my first priority when I take office. There is no military solution in Iraq. Only Iraq's leaders can settle the grievances at the heart of Iraq's civil war."

Much has changed in our country since that speech, and the prevailing sentiment among Americans is that our faltering economy must now be your first priority. We understand and share their concern, but we believe that our faltering economy cannot be corrected if we continue the costly occupation of Iraq , an immense financial cost which is simply unsustainable. The American people are giving billions of dollars every week to continue an occupation that is draining our wallets, our respect, our security, and the lives of thousands of U.S. and Iraqi men, women, and children.

We fervently ask you to use all possible political and diplomatic pressure to quickly and completely end the occupation of Iraq.

Though none of us know what the future will bring, we do know this: our service members are tired of an occupation seemingly without end, and they want to return home to their families.

And when our brave men and women return home, they need to be given full benefits, and adequate healthcare (including mental health) to repair their physical and emotional wounds. They deserve no less, and we as a countryowe that care to them.

We also call on you not to ignore the humanitarian crises of enormous proportion that the Iraqi people continue to endure. Over four million Iraqis have been displaced or become refugees since the U.S. invasion of their country. Iraqi deaths are most accurately estimated at over 600,000 people, with many hundreds of thousands more having suffered physical and emotional injuries. The Iraqi people will be coping with the aftermath of our unjustifiable invasion and occupation of their country for generations to come. IVAW believes that it is the duty of our country to pay reparations to the Iraqi people for the damage we have caused to their lives, infrastructure, and culture.

We acknowledge the shift in focus from the war in Iraq to the war in Afghanistan. At the same time, Afghan President Karzai is calling for a change in strategy and Afghan families are mourning the deaths of their loved ones who have been killed in U.S. air strikes. We encourage you to listen to the Afghan people and U.S. veterans of that conflict before making any decision to escalate military force there.

We call on you to end the occupation of Iraq and repair our economy, and by doing so you will demonstrate that a "new dawn of American leadership" has arrived, a "defining moment of change" that will benefit and give hope to all Americans - young and old, rich and poor, Democrat and Republican, black, white, Hispanic, Asian, Native American, gay, straight, disabled and not disabled.

You once said that “change won’t come from the top. Change will come from a mobilized grass roots. ” We agree, which is why Iraq Veterans Against the War will continue organizing for an end to the occupation of Iraq, health care and benefits for returning veterans, and reparations for the Iraqi people. We hope that these are areas we can work together with you to address.

Respectfully,
Iraq Veterans Against the War

2008年11月25日火曜日

UFPJ全国大会

(以下の日本語訳:イラク市民レジスタンス連帯委員会)

2009年の平和実現のための突破へ…

平和と正義の大会第4回大会に参加しよう
-イリノイ州シカゴ、2008年12月12-14日

 世界中で2009年への大きな希望をもって興奮が広がっている。あらゆる大陸で無数の人々がワシントンの新政権が方針転換することを期待している。世界はアメリカの一国主義的ないじめ政策や、「力は正義なり」の軍事化や、地球が破壊されているのに石油と血にまみれた戦争を行うことが終わるのを見たいのである。

 我々はこんな希望を享有しているのである。そして11月の選挙の結果がどうなろうとも、その希望を現実に代えるには、幅広い、アメリカ合衆国の民衆の創造的で継続的な行動と圧力を必要とするのである。我々は傍観したり選挙で選ばれた指導者だけに進路を転換することを期待することはできない。いまや、かつてなく、我々はイラクにおける戦争を終わらせ、アメリカの進路の向きを転換するだけの民意を確保しなければならない。

 平和と正義のための連合は懸命に活動して生気を取り戻した平和運動を活気づけ組織化を進めている。我々は選挙のちょうど6週間後に次回の全国大会を召集し、この時期の機運に依拠し続け、来年の準備を早急にしようとしている。1400の加盟団体の代表は、一緒に集まって新しい11月以降の環境で効果的な統一行動の計画を立てる機会を得られるだろう。

 我々は、平和と正義の運動が高い目標を立てて懸命に活動すれば、2009年を画期的な年にすることができると確信している。

 2009年はワシントンが「駐留計画期間」と「残留部隊」を決めるだけでは不十分であり、アメリカはイラクから全面的に撤退しなければならないのだと認めざるを得なくなる年にすることができる。

 2009年は、「軍事的選択肢」や「体制変革」が「提案」されないで、あらゆる未解決の問題が交渉によって解決され、米国・イラン関係が決定的に変化する年にする事ができる。

 2009年には、アフガニスタンがワシントンの「良い戦争」であると一般的に前提にされている戦争を終わらせるのを見ることが可能である。そしてこれ以上の兵力を送り込む代わりに、アメリカがアフガニスタンと関係地域の全ての主要勢力の和解と平和の交渉過程を開始することができるのである。

2009年には、パレスチナの地の不法な占領を終わらせ、イスラエル-パレスチナ間の紛争の公正な解決策を交渉し、核兵器のない中東を作り上げる上で主要な障害となっている米国・イスラエル間の「特別な関係」とワシントンの対イスラエル白紙委任政策を変革する大衆討議の新たな段階をもたらすことができる。

2009年は、アメリカの政策を現在導いている頑迷な「対テロ戦争」の枠組みが破棄され、地球規模の貧困を終わらせ、生命を維持する資源を公平に入手できることを保証し、例えば世界を核兵器の完全な廃絶へと導くために、アメリカが国際協力を優先することによって暴力と不安定の真の原因に対する対策を真剣に開始する年にすることができる。

 2009年は、アメリカが地球温暖化との闘いの先頭に立ち化石燃料への依存を放棄して、沖合での石油掘削と新たな原子力発電所の計画を棚上げにし、安全で再生可能なエネルギー資源の開発に真剣に投資をすることによって、国際紛争の重要な原因を減らす年にすることができる。

 2009年には、この国の莫大な資源を軍事化と戦争から離して全ての人に対する医療と教育の提供に向けて、メキシコ湾岸と全米の公的なインフラの再建をしていくことができる。

 2009年には、アメリカが進路を逆転させて、市民的自由と民主的権利を削減するのではなく拡大し、政府に責任を差し戻し、全ての人々に平等な権利を保障し、人種や国籍や宗教や性別や移民の地位や性的指向に基づくあらゆる差別と積極果敢に闘う年にすることができる。

 2009年は、移民やあらゆる国籍の人々を人種差別的に悪者にしたり、移民労働者を襲撃したりすることを終わらせ、新たな国土保安収容センターと人種差別的な国境の壁を終わらせる年にすることができる。

 2009年は、地球の南半分から資源を奪い取る一方で破壊的な社会政策を押しつける地球規模の貿易協定が破棄され、そして将来の全ての協定が真に労働者と環境を守る条項を含むものとなる年にすることができる。

 これは野心的な課題である。これが愁眉の課題でもあるのは、この国と世界に直面する互いに重なり合った様々な危機が幾百万人もの人々を毎日傷つけるだけでなく、地球の将来そのものを危機に陥れているからである。

 11月の選挙の投票直後の数週間で、アメリカの(そして世界の)あらゆる政治勢力が、選挙結果を点検し、新しい環境の評価を出し、2009年とそれ以後の情勢に介入し影響力を与える計画を立てるだろう。アメリカの平和と正義の運動は情勢の評価と行動の両面に置いてまさに最前線に立っていることが必要である。

 我々は、戦争と軍国主義と暴力から生まれ出たあらゆる恐怖によって特にひどい打撃を受けた地域住民にしっかりと腰を落とした可能な限り最大限に広範な運動を築き上げる努力を強化することをめざしている:その地域住民とは、有色人種であり、移民であり、勤労者、貧困者であり、女性でありLGBT[レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランス・ジェンダー]の人々であり、現役兵士、退役軍人であり、若者である。我々が期待しているのはわくわくして活発な大会であり、その場で我々はこの5年強の間に組織化や教育活動うや動員がどれくらい進んだのかの評価を出し、2009年を平和と正義にむけた突破口の年にする計画を共同で決定するのである。

 みなさんが2008年12月12-14日のシカゴの大会に参加されるように招待します。

2008年11月23日日曜日

オバマの勝利についての戦争に反対するシカゴ労働者の会の声明

(以下の日本語訳:イラク市民レジスタンス連帯委員会)

戦争に反対するシカゴ労働者の会 2008年11月21日

2008年11月の大統領選挙におけるオバマの勝利は、過去8年間(少なくとも)の露骨な軍事侵略や人種差別や規制緩和や愛国法や人権総体への攻撃を、アメリカの有権者とアメリカの労働者の大多数が拒否するという力強い願いをさし示したものである。そうは言っても、我々は、民主党の新政権がこうした願いを満足させるだろうと楽観視してはいない。
この民主党政権は平和政権ではなく、占領と侵略を深化させ多面化させる政権になるだろう。バラク・オバマは選挙運動中一貫して、そして上院での投票を通じて、耳を傾けていた人々に対して、イラクにおけるアメリカ軍の駐留を終わらせる気がないことを明らかにし、そしてアフガニスタンにおける駐留兵力と帝国主義的な冒険と、パキスタン国内へのミサイル攻撃と、対イラン戦争の準備を考えているのだと、あらゆる発言で明言してきた。ラーム・エマニュエルを首席補佐官に任命することによって、オバマはパレスチナ人民に対するイスラエル国家の不法な侵略とイランに対する戦争の準備を強く支援しようと考えているのだという非常に明確で予想可能な合図を送った。オバマは、最近のグルジアでの紛争を巡って、国務省と手を結び武力をちらつかせてロシアに対して脅迫をした。そしてオバマは、コリン・パウエルの支持を受けて、愛国法を支持すると再確認した。以上のことは、反戦運動が警戒を怠らずに新政権からの独立を維持しなければならないと言う明白な兆候である。

 選挙結果は非常に矛盾した状況を反映している。一方では、ブッシュを拒絶する大衆的国民的象徴であるというジェスチャーを熱望して、有権者は最も手近なシンボルを手にした。すなわち、2008年の選挙とアフリカ系アメリカ人が大統領になることが可能であるということが、高く評価された古来の夢を実現した。有権者の内64%が投票した。この64%のうち53%がオバマに投票したのであり、彼に支持を与えたのは有権者総数の34%である。しかしながら、この選挙結果は組織労働者と有権者によって信任を受けたと一般に受け止められた。オバマが信任されたことの意味は、ブッシュ/チェーニーの軍国主義政策に対する広い意味での国民的な反対であった。しかし、何も署名されたものはない。現在の戦争とこれからやって来る戦争にこの信任が反対するのを支えるために発表されたものは何もないのである。
経済分野では、アメリカは世界大恐慌以来の最悪の危機に直面している。戦争に反対するアメリカ労働者の会が声明を出したように、「勤勉な労働家族が職と家と医療と退職後の蓄えと希望を失っている。何千億ドルもの資金がウォールストリートを救援するために使われた-しかし、メーンストリートの救援のためにはほとんど何もなされていない。人々は助けが必要なのであり、それは今必要なのだ。しかし、戦争と侵略を基にして自らを肥え太らせた軍隊と企業に税金の半分を消費し続ける限り、勤労者と貧困者の願いは何もかなえられることは無く、経済危機は解決されず、アメリカは真の意味で安全になることはないだろう」。
その一方で反戦運動は、オバマの選挙戦勝利を見て、意見はそれほど大きく変化をしたのではなく(そのような反戦感情がしばらく存在してきたのだ。)、それは軍国主義や人種差別などに反対するという表明が受け身のものから積極的なものへと大きく変わったことを示す一種の指標と呼ぶことができる。

 しかしながら我々反戦運動は、努力を倍加させて成長し、2大政党とそれを所有している防衛産業によって現在ワシントンで行われている策謀から独立を維持し、石油と支配のための戦争を即時終わらせる大衆運動建設のための新たな政治的困難と機会について理解しなければならないのである。

[訳注:ウィキペディア・日本語版より]
ラーム・エマニュエル:1959年イリノイ州シカゴで生まれる。彼の父は、イスラエルのエルサレム出身のユダヤ人小児科医であり、母はシカゴ出身のX線技師。二人は1950年、シカゴで出会った。兄は医者、弟のアリエルはハリウッドの映画業界では有名な大物エージェント。
1981年にニューヨーク州のサラ・ローレンス大学を卒業し、1985年にはイリノイ州のノースウェスタン大学大学院に入学。 学部在学中には、地元連邦下院議員の選挙にボランティアで参加した事もある。 また、1991年の湾岸戦争では、イスラエル国防軍に民間ボランティアの資格で参加し、イスラエル北部の基地でトラックのブレーキ修理をしていた。

2008年11月14日金曜日

バラク・オバマの大統領当選に関する平和と正義のための連合の声明

UFPJ(平和と正義のための連合) 2008年11月7日
 何と言う瞬間だろうか!この国の有権者は変革を支持する投票を投ずるために大挙して出かけたのである。バラク・オバマの大統領当選はこの間の長年の闘いで我々が見てきた中でブッシュ政権の政策を最も大きく拒絶するものであった。何と言う交代であったことだろう。

 アメリカ合衆国大統領に黒人が始めて当選したことで11月4日はこの国の歴史の中でもっとも重要な日となるだろう。オバマの当選が数世紀にわたる奴隷制度やジム・クロウ{黒人差別}や差別や人種の違いによる暴力を消し去ることはない。しかし、それが意味するのは、人種の違いに対する正義と平等を求める闘いが新たなレベルに至ったということなのであり、すべての民族の社会的経済的公正を求める闘いにとっても同じことなのである。

 我々に希望をもたせる理由を与える別のことがこの当選の中で起こった。バラク・オバマが当選したのは、その多くが、この国が経験したもので地域を基盤とした組織化の動員の最高のものの一つ-それはインターネット技術を利用する新しい知識と結びついたものである-から生まれた結果であった。

マケインの選挙運動はオバマの地域の組織化の経験を過小評価しようとした。彼らはいかに大きな誤りをしたことだろうか!

大統領選挙当選者が彼の仕事の次の段階にすでに移行したのとちょうど同じように、平和と正義の運動の我々は、起こったことを総括し、新しい政治状況の評価を出し、将来の計画を立てなければならない。イラクの戦争と占領を終わらせ新たな戦争を防ぐという我々の使命は残っている。今や我々は、この新しい状況の中でその目的を達成するための戦略を発展させなければならない。

 6年間以上にわたって、平和と正義のための連合と反戦運動はイラクにおける戦争に断固として反対してきた。我々の継続した活動が大衆の気持ちを戦争反対に転換させる上で主要な役割を演じたのであり、その反戦感情がオバマの選挙運動が成功した土台を作る助けとなったのである。

 今日、わが国とアメリカと世界は岐路に立っている。アメリカは巨大な経済危機に襲われ、その一方で国民はイラクとアフガニスタンでの2つの戦争に参加している。幾百万人もの人々が国内政策と対外問題で前向きに前進する変化を求めている。そしてとても重要なのは、幾百万人もの人々がこの選挙の季節に活発になり積極的に参加するようになったことである。

 我々は将来に向けて計画していた通りにこの点に依拠しなければならない。平和と正義の我々のメッセージはアメリカを作り変えることができる。我々は選挙が解き放ったエネルギーを活用する方法を見つけ出さなければならない。我々はイラクでの戦争を終わらせることが経済危機を解決することにどんなに直接結びついているのかを人々が理解する手助けをする必要がある。

 我々は際限のない戦争と占領に基づいたアメリカの外交政策に反対する運動を組織してきたが、今やアメリカの外交政策を平和と国家主権の尊重と国際法を基礎としたものへと根本的に変革することに向けた道を明らかにすることが我々の役割である。

 火曜日 [11月4日] 夜の演説でオバマは「この勝利だけが我々の求める変化ではありません。この変化を我々が作ったのはチャンスにすぎないのです。」と言った。オバマは取り組む課題を提案したのであり、平和と正義のための連合はアメリカの進む道を軍国主義と強欲から平和と正義へと転換する活動をする際にこの課題に応える用意はできている。

ストップ戦争連合の声明:オバマの大統領選挙勝利

ストップ戦争連合[イギリス] 広報室  2008年11月5日

オバマの大統領選挙勝利

ストップ戦争連合はバラク・オバマがアメリカ合衆国大統領選挙で勝利したことを喜んでいる。彼の当選は幾百万幾千万ものアメリカ国民の側から戦争と人種差別を拒否した結果である。オバマは、対イラク戦争に真っ向から反対しアメリカ軍の撤退を公約しなければ、大統領になるどころか、民主党の大統領選挙候補の指名さえも獲得できなかっただろう。

今オバマは、悲惨な占領を完全に終らせてその公約を守らなければならない。イギリス政府はそのために緊急に彼とともに活動をしなければならない。
 
 しかしながら、ほかの危険性が残っている。反戦運動が結集を続けなければならないのは、オバマが失敗しつつあるアフガニスタン占領へのNATO軍の駐留強化を支持し、イラン攻撃の可能性を除外していないからである。

 終わりのない戦争と言うブッシュのドクトリンは打撃を受けたが、地球全体の支配を追求する米国のエリートの風潮は簡単には覆されないだろう。アメリカでオバマに投票した人々は戦争屋どもに対して圧力をかけ続けなければならないし、イギリスの我々もまた同じように圧力をかけなければならない。

アメリカ合衆国大統領選挙当選に関するバラクク・オバマ氏への手紙

サミール・アディル イラク自由会議議長 2008年11月6日

こんにちは
 イラク自由会議を代表して、私はあなたがアメリカ合衆国の次期大統領に当選するのに成功したことをお祝いしたいと思います。私たちは、今回の当選がアメリカ合衆国の世界に対する政策、特にイラクに対する政策の新たな段階の始まりとなることを願っています。

 あなたがアメリカ国民によって次期大統領に当選したことは、ネオコン[新保守主義]派と彼らの世界に対する非人間的な政策が敗北したことを意味します。ネオコンは、先制攻撃戦略を採用し、その結果は破壊とテロの増強を引き起こしただけであり、そのために全世界は安全を減らしてしまったのです。

 私たちは、20世紀のビル・クリントン政権時代に民主党の政策を経験し、イラクで行った彼らの政策から苦痛を味わったことを思い出す必要があります。クリントンは国連安全保障理事会で不当な経済封鎖の延長を何度も主張し、残忍にも市民を爆撃して殺害しましたが、その最大の被害者は子ども達でした。さらに私たちは、クリントンがコソボやルワンダで行ったこと、そしてパレスチナ独立国家の形成と言う夢をどのようにして極めて困難なものにしたのかを決して忘れません。言い換えれば、父ブッシュの政治課題と、彼の息子の共和党の政策と、ビル・クリントンの民主党政権との間には何の違いも見あたりません。

 しかしながら、私たちがあなたの指揮の下でのアメリカ政府の政策に変化を見出すのを期待しているのは、あなたが抑圧と不正義を経験しよく知っている家族を祖先にもっているからであり、あなたの理想に世界が共感する理由があるからです。イラクに関して言えば、あなたがイラクに対する戦争と占領に反対したことは賞賛されており、この傷ついた国で長期間にわたって続く戦争とテロの連鎖を終らせる希望を私たちに与えています。

 イラク国民の悲劇を終らせ、6年間近く何百万人もの人々を殺し強制退去をさせるということをやめる方法は、占領を終らせ、政教分離した民族主義でない政府を支持することであり、この政府は人々を人間であることに基づいて認めるのです。

最後に、あなたは選挙運動の中で「我々には変化が必要だ」というスローガンを掲げました。このことは、あなたが過去の政権の政策を見直して、全世界でアメリカに対して高まっている憎しみの主要な要因であるイラク占領を終らせるという勇気ある決断をするのを見られるだろうと言う気持ちを駆り立てています。占領を終らせる決定をしてイラクからアメリカ軍を撤退させることは、アメリカが自らのイメージを改めるために必要な「変化」なのです。

サミール・アディル イラク自由会議議長からのメッセージ

日本の同志、姉妹、兄弟のみなさん

バグダッドから、日本における私たちと同じ人間性の戦線に対して、連帯を新たにし、豊かで平和な社会を勝ち取るための私たちの活動を続けるためにメッセージを送ります。

今日、イラク民衆は以前にも増して苦しみを受けています。イラク政府は、イラクの石油を盗み出すのみならず、イラク国民の収入、勤労収入をも盗み取ろうと決定したIMF[国際通貨基金]の条件を実行しようとしています。彼らは労働者の賃金を20-40%削減したのです。私たちIFCは労働者の闘いを支持し、参加し、先頭に立つことを決めました。現在、1万2000人の労働者がいるイスカンダリアで、IFCの指導者たちはデモとストライキの先頭に立っています。

イラクの労働者は日本での私たちと同じ戦線の話を聞いて、前に突き進み声を高く上げるのです。

全世界金融恐慌は私たちの連帯を強化し、私たちの闘いを一歩一歩統一します。イラク民衆は日本のみなさんの闘いを私たちの一つの路線であり一つの戦線であると見ています。IFCからのあいさつをみなさんに送ります。闘いの場で孤立なければ勝利を勝ち取ることができる、と。

日本のわれわれの民衆と戦線万歳
民衆の連帯万歳

サミール・アディル イラク自由会議議長
2008年10月25日 バグダッド

全ての人が労働者の運動を支持し連帯しよう

イラク自由会議第8回中央評議会総会 2008年10月17日

国有企業の様々な産業部門が、生活水準の下落を止め労働者の年金を改善するためにデモや座り込みやストライキが連続して起こっているのを目の当たりにしている。

しかしながら、占領を支持する政府はIMFの条件に合わせて、労働者の正当な要求を実行するのを逃れるために言い訳し、ウソをついている。8月の労働者の行動と一連の交渉の後、政府はすでに命じられていた30%の賃金引き下げを取りやめるといったいくつかの条件に従ったのである。だが、イラクにおける経済計画を実行するための占領軍の手段の一つである国際通貨基金と協議をした後、政府は労働者の交渉団に対して行った約束の実行を反故にしたのである。

 占領を支持する政府はイラク社会の現在と将来を国際通貨基金の条件に縛り付けようとしているのであり、IMFは公共部門を民営化し、イラクの通貨を発行し、食料配給券を撤廃し、燃料補助を廃止し、労働者には可能な限り最低の賃金を押しつけているのである。IMFがイラクに対して押しつけようとしている経済体制は自由市場経済であり、それはアメリカ合衆国に襲いかかり、それに続いて全世界に吹き荒れた巨大経済危機を経て世界中で失敗を宣告されたものなのである。

 イラク自由会議は労働者の運動と正当な要求に対する支持と連帯を再度表明し、また、この機会に、占領軍とその助手たちが、何十億ドルもの労働者の富を略奪して自分たちのポケットの中に送り込むためにイラク国民に奴隷制度を押しつけようとし、一握りの腐敗した当局者が占領軍の醜い素顔を美化してIMFと世界銀行の命令を実行しようとしているのだということを警告する。
イラク自由会議は全ての労働者と労働者の指導者、活動家と労働組合に対して呼びかけるが、労働者の要求を勝ち取るために計画を調整しよう。それと同時に、宗教と宗派に基づいて労働者を分断するための労働組合の設立に進んだ民族主義勢力や宗教勢力が占領軍の計画を認めるのを許してはならない。

 イラク自由会議は、その隊列に何十人もの労働者の指導者を持ち、労働者の闘いとその要求を前進させる道具となるだろう。そのことはイラク社会全体の幸福を実現することなのである。

工業部門で1週間のストライキを宣言

全イラク労働者評議会労働組合連合(GFWCUI)とイラク自由会議(IFC)の指導者たちがアレクサンドリアでの労働者のデモの先頭に立った

イラク自由会議 メディアセンター 2008年10月21日
 労働者の給付金と給与の支払いを押さえ込む産業省の決定に反対するデモとストライキを遂行すると労働組合の指導者と活動家が発表したのに続いて、3000人以上の労働者が参加するデモがアレクサンドリア市(バグダッド南西65km)でGFWCUI[全イラク労働者評議会労働組合連合]とIFC[イラク自由会議]によって開催された。労働者の闘いに関するIFCの声明数千枚が配布され、一方ではサナテレビが取材して集会の全てを報道し、多数の労働者の指導者と活動家にインタビューを行った。

 この日の前日に、産業省は労働者の代表でGFWCUI副議長、IFC中央評議会書記長のサイード・ニマと会うために代表を送ってきて、産業省が労働者の要求に答えるまで2日間集会を延期させようとした。しかし労働者は、産業省が以前のデモの時に同じ要求についてウソをついたのでこの要求を拒否した。

 悲しむべき事に、デモに参加したカリド・アフメド・アリ・アッバスという名前の労働者がデモの最中に脳卒中で亡くなった。

 一方、イスラム主義の諸派がデモに介入してこの取り組みに宗教的な特徴を付け、労働者の中に彼らの宗派的な立場を注入して集会の目的を脇にそらそうとしたが、デモの指導者たちが彼らに立ち向かい、そのような基盤によって参加してくることを防いだ。

アレクサンドリアのデモの指導者たちは要求が応えられるまで工業部門で1週間のストライキを行うと宣言した。一方で、労働者の代表がバグダッドでの10月19日のデモで提出した要求について協議するために水曜日[10月22日]に産業大臣と会見することとなっていたが、産業省の数千人の労働者が参加しているにもかかわらずメディアはこのデモを全く報道しなかった。

 そうした行為はこのような抗議行動がイラク全土の様々な異なる部門に広がるのではないかと恐れて、労働者の抗議行動のニュースが広げるのを妨害している政府の活動を暴露するものである。

 「労働者の指導者と活動家たちは近日中にGFWCUIの本部で会議を続け行動の調整をして闘争を継続することを決意している。」-スブヒ・アルバドリGFWCUI議長、IFC労働部長による声明

日本の同志、姉妹、兄弟のみなさん

バグダッドから、日本における私たちと同じ人間性の戦線に対して、連帯を新たにし、豊かで平和な社会を勝ち取るための私たちの活動を続けるためにメッセージを送ります。

今日、イラク民衆は以前にも増して苦しみを受けています。イラク政府は、イラクの石油を盗み出すのみならず、イラク国民の収入、勤労収入をも盗み取ろうと決定したIMF[国際通貨基金]の条件を実行しようとしています。彼らは労働者の賃金を20-40%削減したのです。私たちIFCは労働者の闘いを支持し、参加し、先頭に立つことを決めました。現在、1万2000人の労働者がいるイスカンダリアで、IFCの指導者たちはデモとストライキの先頭に立っています。

イラクの労働者は日本での私たちと同じ戦線の話を聞いて、前に突き進み声を高く上げるのです。

全世界金融恐慌は私たちの連帯を強化し、私たちの闘いを一歩一歩統一します。イラク民衆は日本のみなさんの闘いを私たちの一つの路線であり一つの戦線であると見ています。IFCからのあいさつをみなさんに送ります。闘いの場で孤立なければ勝利を勝ち取ることができる、と。

日本のわれわれの民衆と戦線万歳
民衆の連帯万歳

サミール・アディル イラク自由会議議長
2008年10月25日 バグダッド

数千人の労働者が財務省に対して街頭デモ

アメリカ軍と国家警備隊が集会を包囲する一方で労働者の指導者が演説
IFC労働局 2008年10月19日

国際通貨基金[IMF]による条件の下で賃金引き下げを企てた財務省と政府に反対して、産業省の労働者が先頭に立ったデモが連続して行われてきたが、本日2008年10月19日にバグダッドのファルドース広場で大規模なデモが組織され、数千人の労働者が参加した。


このデモは、GFWCUI[全イラク労働者評議会労働組合連合]やFWCUI[イラク労働者評議会労働組合連合]などの労働組合や大衆組織の指導者が先頭に立ち、多数の自由擁護勢力の参加と支持を受けた運動の一環として行われた。

 多数の労働者の指導者が熱烈な演説を行って闘いに立ち上がり正当な要求をしている労働者たちの志気を高め激励した。演説をしたのはスブヒ・アルバドリGFWCUI議長、ファラー・アルワンFWCUI議長、サイード・ニマGFWCUI副議長、ムアマー・マジードFWCUI書記長である。

 その一方、アメリカ軍と国家警備隊は集会を厳しく取り囲み財務省にデモ行進が進むのを阻止するために財務省の建物に向かう道を封鎖した。


 特筆するべき事だが、このデモ行進は多数の都市で続くだろうし、財務大臣と政府が労働者の要求に応えざるを得ないようにするために財務省の全ての部局で座り込みを開始するだろう。

8月のデモの時に、財務省は全ての要求に同意したにもかかわらず、IMFと協議をした後その要求のうちのいくつかの実行を反故にした。IFCは闘いを統一し全国の抗議行動を指導するために行動を調整することを目的として労働運動と労組の指導者を招請する声明を発表した。

新学年に入る学生のみなさんへ

イラク自由会議第8回中央評議回総会 2008年10月17日

 6年間にわたる占領の中で、イラクの学生はバグダッドやバスラやモスルやラマディなどの諸都市で、学生に対する誘拐や、出自の違いに基づく殺害や、学校への爆弾攻撃などの膨大な行為を指図する宗派主義ギャングやテロリストグループによる激しい攻撃にさらされた。それに加えて、自分たちの風習や宗教法を学生に押しつけ続け、男女の学生の間を分離して学生内部の問題に露骨に介入することで大学や専門学校において性差別を押しつけようとしてきた宗教勢力や宗派主義勢力による脅迫や挑発や嫌がらせにさらされた。

 しかしながらイラクの現政府はこのような苦しみに対処する義務を実行せずに学生がこのような状況に直面するのを放置するだけである。

今日、「新生イラク」において学生が体験していることは、全てのイラク国民が体験し占領が続いた結果悪化した悲劇の最大の実態の一部であり、それは同様にイラク社会に対してあらゆる形態の奴隷制度を押しつけるより巨大な計画の一部でもあるのである。

 どんな社会も発展し進歩を遂げるには、あらゆるレベルで教育が発展し進歩することが条件である。安定と安全、政治的市民的自由、貧困と飢餓のない社会というものが、前進し進歩を遂げることができる健康な環境を作り上げる土台である。

 同時に、学生の指導者、すなわち学生の正当な権利を守る学生運動の先頭に立つことができる指導者がいなければ、学校や教育機関や専門学校や大学の悲劇的な状況を永続させる働きをすることになるだろう。


 宗派主義勢力の私兵と結びついた宗教勢力は、学問と大学が政治化するのを許さないし政治から遠ざけられなければならないと主張しているが、その一方でその同じ宗教勢力が宗派主義の学生自治会を結成して嫌悪するべき役割を実行しているのである。


 イラク自由会議は新年度にあたって学生たちに、最高レベルの教育の権利を勝ち取り、自由と市民的権利と政教分離を全てのイラク国民に勝ち取る活動を前進させるために、再び結集するように呼びかける。

 イラク自由会議は学生たちに自由と幸福の旗の回りに隊列を合流し結集するように呼びかける。

イラク自由会議はキリスト教徒の殺害と強制退去を糾弾する

イラク自由会議 2008年10月18日
最近数日間に、テロリストのグループがイラク北部でイラク人のキリスト教徒に対して殺害と強制退去を開始した。国連関係者の公表では、国連は宗派主義グループやテロリストグループによる殺害や脅迫や家屋の爆破のために住む土地から逃げ出した1402家族に人道援助を提供しており、こうしたグループはいわゆる「国民の少数派」の人々、すなわちもうすぐ実施が予定されている地方議会選挙での「少数派」の代表権を巡ってイラク国民議会内で行われている抗争を背景にして、特にキリスト教徒の市民に対して攻撃を開始したのである。

 我々は過去数年間にわたってイラクにおける宗派による分断が殺人や荒廃や破壊をどれほど導き出したのかを見てきたが、そのような暴力を継続し拡大することを望むグループはがいくつか存在し、そのために宗派間や民族間の戦争に至る可能性がある。

 我々は、キリスト教徒の殺害や強制追放を、イラク国民の命によって高い代償が支払われている一連の宗派間戦争の継続だと見なしているのであり、即時中止と強制追放された全ての家族の元の住居への帰還を呼びかける。我々はまた、政府が被害者の損害に補償をしなければならないと要求する。

 イラク自由会議は平等な権利を享受するべきキリスト教徒の市民に対して行われている行為と犯罪を強く糾弾し非難する。そしてまた、いわゆる「少数派」というのはイラク国民がそれによって分断される差別的な用語にすぎないと確信している。このような少数派市民は歴史的にも現実的にもイラク社会の不可分の構成要素の一つである。

イラク自由会議は民族的な出自や宗教に関わりなく全てのイラク国民を保護する責任を占領軍とその傀儡政権が持たなければならないと考える。そしてイラク国民は、権力や影響力を巡る政治的な争いのための生け贄になってはならないのである。

それと同時に、イラク自由会議は、キリスト教徒も他の宗教の信徒も、民族や宗教や歴史上の特殊性を作り上げる一因となっている民族主義や宗派主義政党の諸潮流に自制心を奪われないように注意を喚起する。そしてイラク国民を少数派と多数派に分断するのは、自らの狭い利益を引き寄せ役立てようと言う民族主義や宗派主義や宗教主義の勢力の間の政治闘争の一部なのであること、それは平和と安全と自由と近代化を切望するイラク国民の利益とは何の関係もないということをIFCは強調する。

イラク自由会議は、全てのイラク国民が差別なく平等な権利と義務を持つ政教分離した民族主義でない国家を建設することをめざすIFCの政策綱領の回りに結集するように呼びかけるものである。

2008年11月4日火曜日

米国・イラク安全保障協定に対するイラク自由会議の声明

イラク自由会議第8回中央評議会総会 2008年10月17日  

米国政府は、イラクを米軍の駐留と政治介入、そしてイラクの経済的資産と富を完全に支配する権限を確保するための協定にしばりつけようと計画している。
 
この条約は、条文やアメリカの要求がいかなるものであろうとも、対イラク戦争と占領を推進した口実が、イラクに大量破壊兵器が存在する疑いがあるとかイラク国民を全体主義政権から解放するとか民主主義を広げるといったこととは、何の関係もなかったことを再び暴露している。この協定は中東地域におけるアメリカの支配権を強化し、世界にアメリカによる帝国主義を押しつける計画をする新たな舞台なのである。
 占領を支持する政府は1990年以来押しつけられてきた国連による経済制裁からイラクを救い出し主権を回復するものだと言ってこのような協定を正当化しようとしている。占領の筋書きと政治過程に参入してきた野党はイラクの主権を損なうと言って協定の中のいくつかの部分に反対している。このことが意味するのは、アメリカによる命令権が変化し減少しようとも、結局この屈辱的な協定にイラクが署名することに野党は反対しないということなのである。その一方で、イランの聖職者政権とイラク国内のその同盟者や傀儡たちは、自分たちがイラクの主役となり占領軍とアメリカに取って代わるためにこの政治過程を阻止しようとしている。

 ロシアの勢力の台頭と巨大な経済危機は世界に直接の衝撃を与え、アメリカによる世界一局支配の終焉は、中東における警察官の役割を演じるために中東地域において同じ支配権を維持しようとあらゆる努力を注ぐアメリカ政府にとって米国・イラク駐留協定は全く必要不可欠なものとなるだろう。
 その一方で、米国政府がイラク国民に押しつけようとしているこの協定は、実際には、恒久的なアメリカ軍の駐留を通じて、イラクのあらゆる主要な政治上、安全保障上、経済上の要素に対するアメリカの支配を実行することなのであり、アメリカ軍の駐留を合法化することはイラクの安全を損なうだけでなく、中東地域全体の安全が危機に瀕するだろう。そしてイラクは、アメリカとイラク国内の恒久的な米軍基地に代表される国際的テロと闘うテログループにとっての恒常的な戦場であり続けるだろう。
 経済的な問題では、イラクの富は一握りのアメリカの企業や仲買業者たちの手に落ち、より大きな規模で貧困や飢餓や失業や非識字や債務が支配する社会を作り上げるだろう。
 政治的なレベルでは、自由と平等と幸福を求める自由獲得の運動が弾圧されることが避けられない。というのも、この運動はアメリカ軍を支えてきた企業とあらゆる勢力の利害と衝突するからであり、言い換えればイラクが中東地域の自由擁護の運動を打ちのめし抑圧する時代逆行の基地に変わるであろうからである。
 
イラク自由会議は、イラク国民と中東の利益に露骨に敵対するこのような協定を拒否する。そしてイラク政府や国民議会のどの政党がこの条約に署名しようとも、何の正当性もない。  占領を支持しその勢力圏の中をうろつく者たちは、自分がイラクの国民大衆に対して最も大きな最も汚い陰謀をめぐらしているのだと言うことを知らなければならない。  このような協定を打ち倒す闘争は占領軍を追い出しその計画を破綻させるイラク自由会議の闘いの一部である。 占領を終わらせその全ての計画を一掃することなしに安全も安定もあり得ないのである。