2012年1月6日金曜日

全占領軍の完全撤退を勝ち取る!イラク民衆との新たな国際連帯運動を!

2011年12月18日、米国占領軍の最後の部隊がイラクから撤退しました。2003年のイラク侵攻・占領から8年半を経て、ついにイラク民衆と世界の反戦・反グローバル資本主義の運動が占領軍を追い出したのです。

全占領軍の撤退にあたり、アメリカの支配層も「我々は敗北して去るのだ」(ギングリッチ元下院議長)、「中東で米国が新たな戦争をすることはないと思う。世論が賛成しない」(マケイン上院議員)と認めています。もっとも悪辣な戦争と貧困の政策を進めたグローバル資本主義の戦争政策が敗北したのです。

当初オバマ政権は数万人のイラク占領体制の継続をもくろんでいました。しかし、全占領の撤退を要求する強力なイラク民衆の闘いと全世界の世論、チュニジア・エジプト、イラクで立ち上がった中東民主主義革命(アラブの春)のうねり、そしてグローバル資本による貧困と格差拡大に対して「我々は99%だ」と声を上げて全世界で広がるオキュパイ(占拠せよ!)運動を前にして、占領を維持することが出来なかったのです。

イラク民衆との国際連帯運動もまた新しい段階に入ります。12月2日、イラク自由会議(IFC)は最大の目標であった占領軍の撤退を勝ち取ったことをふまえて、発展的な解散を決定しました。IFCはその解散宣言の中で、「この運動は異なった新しい政治的組織的枠組みで闘いを継続する。それは…世界が専制と飢餓、失業に反対する巨大な革命運動を目撃している今日の時代にふさわしい新たな枠組みである」と表明しています。

占領軍を撤退させたイラクの闘いは、グローバル資本の手先であるマリキ腐敗政権の民衆抑圧、貧困と失業の政策に立ち向かい、平和で民主的な社会を築くための新たな段階に入ったのです。

サナテレビはこうしたイラクにおけるグローバル資本による支配に立ち向かう民衆の闘いと実態を伝えていきます。ぜひこの闘いに連帯し、引き続きイラク平和テレビ局の視聴者を広げ、「イラク民主主義革命連帯・サナテレビを支える会」に参加していただくことを訴えます

米国の撤退とイラク占領の終結に関する声明

 イラク占領の9年を経て米国政府は1130日、バグダッド訪問中の副大統領ジョー・バイデンを通じて、イラクからの完全撤退を宣言した。バイデンはイラク政府の代表たちの出席の下、公式祝賀会を催した。
 イラク民衆が経験した苦しみに満ちた暗黒の9年間は、米政府によるイラク戦争・占領正当化の口実がすべて根拠のないものだったことを証明した。大量破壊兵器の存在からサダム政権のアルカイダとの関わり、イラクの民主化に至るまで、すべてウソだった。ブッシュ時代にすでに米政府は、イラクに大量破壊兵器はなかったと認めた。サダムとアルカイダの関係を示す証拠は何も見つからなかった。「民主主義」の普及について言えば、イラクは腐敗と難民流出において世界最悪クラスにランキングされ、経済・政治・医療・福祉などあらゆる面で失敗国家の一つになっている。加えてイラクは宗派主義・民族主義ギャングと組織犯罪集団、内外のマフィアが溢れんばかりに群がる国へと変えられてしまった。
 米軍イラク完全撤退宣言は、湾岸戦争以来「新世界秩序」を押しつけようとしてきた政策の失敗を米国が公式に認めたものだ。それは新たな時代の始まりを告げている。グローバル経済危機が吹き荒れる世界。権益の配分をめぐる諸大国、地域の諸勢力の間の抗争が燃え上がる世界。貧困と飢餓、失業に反対し、自由と人間の尊厳、平等を求めてアラブ・中東地域の国々で始まり、イラクにも広がった民衆蜂起が今や欧米の諸都市を席巻しつつある世界。この世界における新たな時代である。
 さまざまなギャング集団が自らの存在を占領へのレジスタンスと正当化し、のさばった占領の時期は、米軍の完全撤退によって終了する。占領の終結をもたらした力は、自由と平等、人間の尊厳に貫かれたよりよい世界をめざすイラクの革命運動の前進を後押しするだろう。
イラク人民万歳
自由万歳
搾取なき世界を建設する解放・革命運動万歳

イラク自由会議第13回中央委員会拡大活動者会議  2011122

イラク自由会議の活動停止についての決定および解散宣言

2005319日に結成されたイラク自由会議(IFC)は主要な目的・最優先課題を、占領の追放および人間を民族や宗派の別なく人間として尊重する政教分離政府の樹立に置いた。IFCはさまざまな分野における闘いと占領終結のために払った犠牲を誇りとし、この機に喜びと祝意を表明するとともに、占領に反対しよりよい世界の実現をめざす闘争に寄せられたイラク内外のあらゆる解放・革命勢力の支援と助力に深い感謝の念を表明する。

IFCは、解放とよりよい世界をめざす革命運動、イラクにおける大きな運動に包含される政治的組織的枠組みである。この運動は異なった新しい政治的組織的枠組みで闘いを継続する。それは占領後の新たな段階のイラク、宗派主義と貧困、腐敗に立ち向かう民衆抗議行動の夜明けを告げた225日後のイラクにふさわしい枠組みであり、世界が専制と飢餓、失業に反対する巨大な革命運動を目撃している今日の時代にふさわしい新たな枠組みである。

占領の終結が正式に発表された今、IFCはその闘いの最終局面に至る。IFCはすべての活動を停止することを宣言し、自らの解散を呼びかける。

イラク自由会議第13回中央委員会拡大活動者会議   2011122

イラク自由会議拡大中央委員会最終声明

イラク自由会議(IFC)はイラク人民とともに占領の終結を祝い、この機に活動を停止することを宣言する。
 122日、多くのメンバーとスタッフ、活動家、支援者らが出席する中、IFC拡大中央委員会の会議が開かれた。
 会議は、IFCの掲げる目標、平和と安全・自由・平等が勝利を収めるイラクのために犠牲となった人々に黙とうを捧げ、中央委員会書記長サーレハ・ハディ、中央委員アハメド・フセイン、同エルハム・タラバニ、スタッフのバルワ・ラマダンらから成る議長団によって進めらた。
 サミール・アディルは開会あいさつで「われわれを取り巻く世界は変化している。現代世界の巨大な変容の方向に影響を与えるためにも、われわれは変わらなければならない」と述べた。
 サミールはさらに、アラブ世界と中東地域の大衆抗議行動から、グローバル経済危機、世界と地域の諸大国による世界再分割をめぐる紛争のエスカレーション、そして貧困・失業・飢餓に反対する米国・ギリシャ・英国における民衆運動の登場と他の国々へのその広がりに至るまで、世界と中東地域に起きている政治的変化について指摘。「貧困・腐敗・宗派主義に反対する運動を組織し、われわれの政策と展望を行き渡らせるためには、ばく大な努力を必要とする。われわれは225日にイラクで大衆抗議行動が火ぶたを切って以来続けてきたこの運動を完成させなければならない」と締めくくった。
 続いて、「IFCの政治的歩み」という標題のスライドショーが上映された。これは、占領に反対するIFCの活動のさまざまな場面とリーダー・活動家の姿を映し出した数十枚の写真から成るもので、会議の雰囲気を高め、参加者全員がIFCの闘いの歴史をたたえて数分間スタンディング・オベーションをするに至った。
 その後、「アラブの春とわれわれの運動に対するその影響」という討議資料に基づいて議論が行われた。サミールはこれを開会あいさつの続きと位置づけ、中東地域の大衆抗議行動が中東と世界の政治的力関係、そしてイラクにおけるわれわれの運動にいかに大きな影響を与えたか、を説明した。これらの抗議行動とそれによる変化が示しているのは、こうした変容に対応していくための新たな政治的枠組みの必要性だと指摘。同様に、イラクからの米国の撤退は、イラクの解放・革命の運動―IFCはその一員だ―がこの新たな段階の要請に応え得る政治的組織的枠組みを必要としていることを証明するもう一つの要因であると付け加えた。
 サミールの報告を通じて、IFCがその闘争の最終段階に到達したこと、当初の目的の一つ、占領終結を実現したこと、新たな段階にはそぐわない政治的組織的枠組みとなってしまったことが結論づけられた。
 会議出席者は旺盛に討論に参加し、多くの意見を投げかけた。そして「米国のイラク撤退に関する声明」が提案され、投票で全員一致により承認した。さらに、占領に反対しよりよい世界の建設をめざすイラク民衆とIFCの闘いを支えた世界の諸団体に対する感謝のメッセージを採択した。これらの団体は日本のMDS、米国のUSLAWおよびAFSC、フィリピンのAKCDFおよびフィリピン・韓国そして世界中の自由を愛する勢力である。
 決議案の議題では、「IFCの活動停止と解散」の決議案が出席者に提示され、この課題をめぐる広範囲にわたる長時間の討論を経て、会議は投票により絶対多数で[英語版では全会一致で]IFCの解散を承認した。
 サミールは以下のように閉会の言葉を述べた。「IFCの解散は闘いと政治活動を打ち捨てることを意味するものでは決してない。すべてが終わったのでは決してない。この決定はわれわれの運動の利益のための、われわれが新たな段階の要求に応えられるようにするための政治的決定である。私は会議の休憩時間に、多くの同志がこの決定に痛みを表しているのを耳にした。これからどこへ向かえばいいのか、と聞く同志もいた。私はこう答える。IFCの設立はイラク労働者共産党(WCPI)によって発案されたものであり、私は2005年2月に政治局によりIFC創設に向けて活動するよう委任された。この数年、WCPIはIFCを支援し、政治的展望を指し示してくれた。今日私は、IFCの枠組みを打ち建てたWCPIは現在の情勢の要請に応える新たな闘争の枠組みを打ち建てることができる、と言いたい。私はここに残るが、新たな変化に対応しそれに影響を与えられるよう、私もまた変わらなければならない。私はみなさんと共にある。サミール・アディルを支持するという人々、WCPIの綱領・目的・政策に基本的に共感できるという人々は、WCPIに加入してほしい。しかし、WCPIへの加入を望まない人々をわれわれが見捨てるわけでは決してない。われわれはつねに同志たちを大切にしている。不一致点があっても、共にわれわれの活動を続けよう。次なる「章」は新たな形の運動と努力とメカニズム、新たな組織的枠組みを必要とする。腐敗・貧困・宗派主義に対する強力な民衆運動を組織することが、われわれの闘いの次なる段階だ。
 私はみなさんと痛みを共にするが、痛みの性質が違う。この痛みは女性が出産にあたって、新たな子どもを産み生命を引き継いでいく時の痛みに似ている」
 会場には大きな拍手が響き渡り、IFCスタッフで青年学生連合のリーダーの一人アリ・イサームによる熱烈な詩の朗読で会議は幕を閉じた。

イラク自由会議第13回中央委員会拡大活動者会議   2011122