2010年8月28日土曜日

イラク「敗走」連合声明

IVAW(戦争に反対するイラク帰還兵士の会)や女性平和団体コードピンクなどが「イラク敗走連合」と銘打って8月31日の米軍のイラクからの部分撤退についての声明を出しました。今回の「撤退」は占領のブランドのはり替えであると明言しています。

(日本語訳:イラク市民レジスタンス連帯委員会)

イラク「敗走」連合声明

7年間の戦争の遺産

http://ivaw.org/node/6111
末尾に署名をしている団体と個人の我々は、次の評価と勧告によって8月31日の米軍の部分撤退を特徴付ける。

*米国のイラク占領は継続し、イラクにおける米軍の縮小はせいぜい単なる占領のブランドのはり替えに過ぎないと呼ぶことができる。イラクの米軍兵士の数は最大16万5000人から削減されるが、それでもなお5万人の兵員と、約7万5000人の軍契約者と、5つの巨大な「恒久的基地」とバチカン市国の大きさの大使館が残されるだろう。

*米軍がサダム・フセインの野蛮な独裁を打倒してもイラク国民のより良い生活にはならなかった―ちょうどその正反対であった。占領の結果、基本的な社会基盤―電気や水や下水である―を一層破壊し、そしてそれは今日まで続いているのである。米国は第2次世界大戦の全部よりも多いトン数の爆弾を落としてイラクの電力、水道、下水システムを破壊した。かつて中東全体で最良であったイラクの医療と高等教育制度は大部分が破壊された。米国の対イラク戦争は暴力の波を解き放ち、100万人以上のイラク国民が死に、400万人が住みかから追い出され、そして、民族対立が国民を苦しめ続けている。我々は何百万人ものイラク人に重い傷を負わせ、再建の闘いを進める際にイラク人と地域住民と国全体に一生涯の苦難や経済的苦境を作り出したのである。

イラク国民の平均寿命は、戦争と医療体制の破壊によって、1996年の71歳から2007年の67歳へと落ちた。劣化ウランや白リン弾といった兵器を米国が使用したために、深刻な死傷者数を出し、たとえばファルージャでのガン発生率は今や広島の発生率よりも悪くなっている。

*米国の介入によって生み出された難民と国内で住みかを追われた人々の大部分は見捨てられている。400万人近い難民のうち、多くの人々が今やシリアやヨルダンやレバノンや世界中でますます絶望的な状況の中で暮らしている。証明書を持たない難民として、大部分は働くことを許されず、生きるために極端に低賃金の非合法の仕事(1日3ドル)につくか国連や慈善事業に頼らざるを得ないでいる。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はイラク人女性の性売買が急増しているという資料を出している。

*イラクはいまだにまともに機能する政府がない。3月7日の選挙から何ヶ月もたっているのに、今なお政治的空白と毎月およそ300人の市民を殺す暴力が存在している。きちんと機能している民主主義は存在していないし近い将来に存在するようになるという兆候はほとんどない。

*イラク戦争は米軍兵士に恐ろしい犠牲を残した。100万人以上の米軍現役軍兵士がイラク戦争のつらい仕事に派兵された。4400人以上の米軍兵士が殺され何万人もが重傷を負った。米軍兵士の4人に1人以上が医療や心理治療の必要な健康問題を抱えてイラク戦争から帰国している。軍隊内のPTSDの比率が急増している。2009年には新記録となる245人の兵士が自殺した。

*戦争は米国の資金を枯渇させた。2010年現在、米国の納税者はイラク戦争に7500億ドル[約75兆円]以上を使った。負傷した退役兵士の生涯の看護費用とこの戦争の費用を支払うために米国民が借りた資金への利息支払いを合わせると、本当の費用は数兆ドルにもなる。こんな資金の悪用をしたために今経験している経済危機を引き起こしたのであり、学校や医療や社会基盤や汚染がなく環境に優しい雇用への投資などができないのである。

*嘘に基づいたこの破滅的な戦争に我々を引き込んだ米国政府高官たちは責任を取らされていない。ジョージ・ブッシュも、ディック・チェーニーも、コンドリーザ・ライスも、コリン・パウエルも、カール・ローブも、ドナルド・ラムズフェルドもである。誰1人もとらされていない。ジェイ・バイビーやジョン・ユーなど拷問を認めたブッシュ政権の弁護士たちも取らされていない。嘘をずっとつき続けた「シンクタンク」やジャーナリストや専門家たちは首になってなんかいない―大部分は今日アフガニスタン戦争の応援の先頭に立っているのである。

*戦争はイラクの資源の略奪と腐敗の制度化を引き起こした。米国国防省は2003年のイラク侵攻以後の人道上の必要と復興に当てられたイラクの石油とガスの資金の87億ドル[約8700億円]の使い道を明らかにすることができなかった。イラク侵攻は国家の石油に対するイラク政府の管理をむしばむことにもなったのである。2001年に、アメリカ最大のエネルギー企業の経営者たちを入れたディック・チェーニー副大統領のエネルギー対策本部はイラクのエネルギー産業部門を外国の投資に解放するように勧告した。その結果できたイラクの石油法案は、国際石油カルテルがその支配を再確立しようとしているので、イラクの資源を全世界規模で略奪するおそれがあるものである。しかしながら、石油法の採択は、強力な民衆による抵抗、なによりもまず石油労働者とその労働組合によって頓挫させられている。

*イラク戦争は我々をより安全にすることはなかった。拷問と異常な演出と無期限の拘束と暴力的でひどい襲撃と街頭での罪もない市民の射殺と人身保護令状[特に違法な拘禁を防ぐために被拘禁者の出廷を命令する令状]の欠落という米国の政策はアメリカ人に対する憎しみと過激主義の炎を燃え上がらせた。米国軍がイラクや他のムスリム諸国に駐留しているまさにその事が彼らの人員を募集する手段になっているのである。

 以上から、末尾に署名する個人と団体の我々は今回の部隊の撤退の機会にオバマ政権と議会に以下の行動を取るように要求する。

*イラクから全ての米軍と軍事契約要員を撤退し全ての米軍基地を閉鎖すること。

*イラク人が基本的な社会基盤を修復し、何百万人もの国内外へと家を追われた何百万人ものイラク人のための増加した費用を回復する助けとなる補償を行うこと。
*戦争による精神的肉体的負傷に苦しむ米国兵士を十分に支えること。

*米国をこの大惨事に引き込んだ責任のある政府当局者を訴追すること。

*資金を戦争から、環境に優しい雇用に焦点を当ててアメリカを再建するための財源に変えること。

*この破滅的な介入の教訓は連邦議会とオバマ政権がアフガニスタンでの戦争を終わらせる弾みにしなければならない。アメリカ国内の真の安全を作り出しアメリカを再建することに焦点を当てる時である。

Bay Area Labor Committee for Peace & Justice:
[サンフランシスコ]湾岸地区平和と正義のための労働者委員会
CODEPINK: Women for Peace: コードピンク:平和を求める女性の会
Community Organizing Center: 地域組織化センター
Courage to Resist: 抵抗する勇気[派兵拒否兵士の支援組織]
Fellowship of Reconciliation: 友和会[宗教の宗派を越えた平和組織]
Global Exchange: グローバル・エクスチェンジ
Institute for Policy Studies' New Internationalism Project:
政策研究所・新国際主義プロジェクト
Iraq Veterans Against the War: 戦争に反対するイラク帰還兵の会
Jeannette Rankin Peace Center: ジャネット・ランキン平和センター
Just Foreign Policy: 公正な外交政策を求める会
Military Families Speak Out: 声を上げる軍人家族の会
Nicholas (Nick) Dibs, Independent candidate for Congress:
ニコラ(ニック)・ディブス 無所属連邦議員候補
Pax Christi – USA: パックス・クリスティー・USA[カトリックの平和運動団体]
Under the Hood: アンダー・ザ・フード[フォート・フード基地前の反戦カフェ]
United for Peace and Justice: 平和と正義のための連合
US Labor Against the War: 米国反戦労働者の会
Veterans for Peace: 平和を求める退役軍人の会
Voices for Creative Nonviolence: 創造的非暴力の声
Voters for Peace: 平和を求める有権者の会
War Is a Crime: 戦争は犯罪だの会
Women's International League for Peace & Freedom (WILPF) Los Angeles Branch
婦人国際平和自由連盟(WILPF)ロサンジェルス支部[1915年創設の国際女性平和団体]

2010年8月22日日曜日

AFL-CIO会長がイラクの組合弾圧に抗議

マリキ政権がイラクの電力労組など労働組合にひどい弾圧を展開しています。これに対して米国最大の労働組合のナショナルセンターであるAFL-CIO(アメリカ労働総同盟・産別会議。組合員1100万人)のトラムカ議長がイラクのマリキ首相宛に抗議書簡を送りました。


(日本語訳:イラク市民レジスタンス連帯委員会)

http://www.uslaboragainstwar.org/downloads/Trumka%20to%20Maliki%20letter%2011%20August%202010.pdf

2010年8月11日

ヌーリ・マリキ首相宛

組合員数1100万人のAFL-CIOを代表して、私はイラク政府の政令第22244号に対して強い抗議を表明するために手紙を書いています。この政令は労働組合の権利を明らかに侵害し、イラク労働者の民主的な希望を不当にも制限しています。

AFL-CIOが受け取った情報が示しているように、電力大臣によって出された政令は電力産業部門における全ての労働組合活動を徹底的に禁止すると明言しています。それは電力省当局者が労働組合と交渉することを禁じ、労働組合が労働者を代表して近年電力省と交渉してきた利益をすべて取り消せと指示しています。さらに、電力省に対して、警察と協力して全ての労働組合事務所を閉鎖し組合の財産、資産、文書、家具、コンピューターを取り上げ、電力省がこの政令に違法に反対していると見なす労働者に対して反テロ法の下で訴追することがあり得ると脅かしさえしています。

労働条件改善のために組合を組織し交渉をすることによって、イラクの労働者は何十年にもわたる独裁政治によって長年否定されてきた国際的に認知されている権利を行使しようとしています。ところが、民主的な労使関係を築き国際基準に合致した新しい労働法を制定するために労働組合と一緒に活動するのではなく、貴政府はイラクの歴史の中でもはるかに民主主義と希望の少ない時代にもともと作られた反組合的な労働法と慣行を適用し続けています。

AFL-CIOは貴政府に対して電力産業部門とイラク全土で、現在その権利が否定されている公的部門と民間部門の両方の労働者に対して、結社の自由を保障する即座の実効ある措置を実施するように要請します。ILO[国際労働機構]の一員として、イラクは結社の自由に関するILO87号条約などの国際条約に従う義務があります。

私たちは労働者の権利に対する政府のこの不当な攻撃を停止するためにあらゆる必要な措置を即時とるようにあなたに要請します。さらに、私たちは首相府に対して、イラクの立法機関がイラクの労働者にふさわしい新しい民主的なイラクを実現するという約束に恥じない新しい法律を制定することができる時期が来るまで、特に公的部門での独立した労働組合組織と団体交渉を制限する法律の執行を停止するように謹んで要請します。

敬具

リチャード・L・トラムカ  <AFL-CIO会長>

USLAWがイラク労組弾圧に抗議

マリキ政権がイラクの電力労組や石油労組にひどい弾圧を展開しています。USLAW(アメリカ反戦労働者の会)が抗議行動を呼びかけています。


以下のURLに抗議手紙送付一式が掲載されています。入力すればイラク大使らに送られます。(英文です)
http://salsa.democracyinaction.org/o/2488/p/dia/action/public/?action_KEY=4439
(日本語訳:イラク市民レジスタンス連帯委員会)

今行動しよう!

イラク:大臣がサダム式の動きをして全ての労働組合事務所を閉鎖する

アメリカ反戦労働者の会 2010年8月

7月中旬に、警察がイラク全土の電力労組を襲撃し閉鎖して、サダム・フセインの規則集から取り除くこともできたであろう電力大臣の命令を実行した。

その命令は「電力省とその部局と敷地における全ての労働組合活動」を禁止し、警察に「全ての労働組合の事務所と拠点を閉鎖し、組合の資産、財産、文書、家具、コンピューターを取り上げる」権限を与えた。(詳細は以下)

イラクの労働組合運動は組合員と労働者に連帯する活動家があらゆる場で抗議の声を上げるように呼びかけている。

どうか少しだけ時間を取って、いかなる本当の民主主義にとっても不可欠なものである基本的な労働者の権利に対するこの侵害に抗議するメッセージをシャハリスターニ石油大臣とマリキ首相に送っていただきたい。

フセイン・アル・シャハリスターニ石油大臣は電力大臣にも任命されており、以下の行政命令を発した。
1.あらゆる組合活動を禁止し、電力部門の労働組合とのあらゆる形態の協力や当局の協議を停止する。

2.警察が組合事務所を閉鎖し、文書や家具やコンピューターやそこにある他のどんなものでも押収するのを経営者が助けるように指示する

3.2005年の対テロ法に基づいて、脅迫を行ったり暴力を使ったり公共財産に対する損害を引き起こす者は誰でも即時起訴するように全ての事業体に命令する。

4.組合員が得たどんな利益や特典も取り消すように全ての部局と企業体に命令する。

この言語道断な行為は国際的に認められている労働者の権利の基準の全てを侵害している。それはサダム・フセインが打倒されて以来イラクで起こってきた労働組合に対する広範な攻撃を以下のような点で増大させている。

*公共部門と公共企業体の労働組合をサダムが禁止したことを継続して実施している。
*労働組合の銀行口座と財産を凍結している。
*政府の事前の許可なしに組合の指導者がイラク国外を旅行することを禁止している。
*組合の指導者を自宅や家族や組合員からはるかに離れた場所に配転している。
*石油資源と石油会社の民営化に反対することでイラク経済を攻撃していると言って、全イラク石油労組連合の幹部たちの刑事責任を追求して起訴している。
*基本的な労働者の権利を立法化することを求めているイラク憲法の要求を無視している。
*イラクが加盟国であるILOの団体交渉に関する第98号条約に違反している。


[抗議文]
表題:組合敵視の政令を撤回しろ、労働者の権利を尊重しろ!

宛先:ヌーリ・アル・マリキ首相、フセイン・アル・シャハリスターニ電力大臣、バグダッド、イラク
拝啓:私は電力大臣によって2010年7月20日に出された政令第22244号が「電力省とその部局と敷地における全ての労働組合活動を禁止」し、イラク全土の組合事務所に対する警察の襲撃と組合の財産と記録の押収と、組合の組織化と行動に関する労働者の権利を実行するのを弾圧することを狙った他の処置を命じていることを知りました。この政令はILO第98号条約の加盟国としてイラク政府が擁護する義務を持つ国際的な労働基準を明らかに侵害しています。私は貴下に、方針を転換してイラクの労働組合に対するこの攻撃をやめるように要求します。イラク憲法は国際基準に適合した労働者の権利の基本法の制定を求めています。政府や雇用者の介入や嫌がらせや弾圧を受けることなく、自ら選んだ組合で自らの利益を守るためにイラクの全ての労働者に団結権、団体交渉権、団体行動権を保障する労働法をイラクが制定する時期はとっくに過ぎているのです。貴下の即座の行動が求められています。世界は注視しているのです!

IVAW「イラク―終わりではない」

IVAW(反戦イラク帰還兵の会)が「イラクからの撤退」が宣伝されている中で、今もイラクへ、アフガンに送り込まれる米兵士とその抵抗の取り組みが報告されています。
(日本語訳:イラク市民レジスタンス連帯委員会)

イラク―終わりではない
http://ivaw.org/node/6106

反戦イラク帰還兵の会 2010年8月

本当の終わりでないことはお分かりだろう。

主流マスコミのテレビニュースは昨日、アメリカのイラクからの「最後の戦闘部隊」の撤退を大がかりな見せ物にしたが、現役兵や帰還兵にとっての武勇伝は続く。これから涙と喜びにあふれた家族のもとに帰還する兵士の多くが結局はイラクとアフガニスタンの両方でより長い勤務期間を過ごすために送り込まれるだろうということを我々は知っている。

事実、イラクとアフガニスタンに向かう異なる2つの部隊のメンバーが、派兵のための肉体的な用意も精神的な準備もできていないために、派兵を今すぐ中止しろと司令官に要求しているのである。

みなさんは彼らを支持するだろうか?

オバマ大統領はイラクに残存する部隊が主に管理や「顧問」の職務を行っているように思わせている。しかし実際には5万人の「戦闘可能な」部隊がイラクに残って以下のことをするのである:

 *イラク警察の訓練をするためだが、そこには危険なパトロールに同行することを含む。
 *続いているテロリスト狩りで特殊部隊の作戦を支援する。
 *イラク軍に航空支援(又の名を頭越しの大砲と爆撃)を提供する

毎月暴力が増加しているイラクでこれは机上の仕事になりそうだろうか?

フォートフード基地の第3機甲連隊 *1

この日曜日[8月22日]、フォートフード基地の第3機甲連隊(第3ACR)がイラクに送られるだろう。第3ACRの兵士の妻と家族はイラクに行こうとしている5000人のうちの数百人はPTSDや他の病気にかかっていて、派兵には適していない、と言っている。今週、彼らは負傷した兵士は家の残してほしい、と要求した。

IVAWフォートフード支部とフォートフードの軍人家族会は傷を負った兵士を派兵するのをやめさせるために軍隊に電話をかける活動に参加するように我々に要請してきている。

第3ACRの司令官に電話をかけてPTSDや外傷性脳損傷の兵士を派兵するなと要求しよう

第3ACR司令官:

連隊司令官―アレン大佐
指揮官―ジョナサン・J・ハント上級曹長

月曜から金曜日までの午前9時から午後5時の間に電話をかけて、どの指揮官でも名前で呼び出そう。たとえ話をしようとしなくても、メッセージを残すか電話をかけ直そう。他の誰かの耳を捕まえたら、医療上適していない兵士を派兵するのをやめろと言おう。電話をしたら、私たちにメールを送ってあなたが電話をかけたことを教えていただきたい。

第656輸送中隊 *2

第656中隊は中西部の数州の予備役兵で構成されたインディアナに駐屯している陸軍予備役兵部隊である。今週末にアフガニスタンに行く予定のこの部隊の兵士たちは派兵に適していない理由に訓練が不足していることと精神の健康上の問題があると述べている。IVAWのメンバーで部隊のアレハンドロ・ビラトロ軍曹は、自分たちは使用する兵器の訓練を受けていないし、アフガニスタンに入ればすぐに運転しなければならない車両の操作の仕方を知らない、と心配している。派兵予定の兵士の中には深刻な精神の健康問題を持っている者もいる。

アレハンドロが最初にこの危機を暴露した後、部隊の他の兵士たちが名乗り出た。彼らは連邦議会に自分たちの部隊の準備状況を調査するように現在要求している。我々は、彼らの取り組みを支援するためにできる行動について来週あなたに連絡し続ける。第656中隊に直面している状況の全部の説明はここをクリックしてもらいたい。

共に手を取り合うことで、我々は負傷し疲れ果て準備も不足している兵士を食べてしまう軍事機構を止めることができる。フォート・フード基地と第656通信部隊で勤務するIVAWのメンバーは我々に期待しているのである。

連帯して

反戦イラク帰還兵の会

*1 「第3機甲連隊がイラクへ揖斐を準備」、キリーン・デイリー・ヘラルド、2010年8月5日

*2 「弱い軍隊:兵士が準備のできていない部隊の配備を暴露」 コモン・ドリームズ、 2010年8月11日

2010年8月21日土曜日

イラクからの撤退は占領ブランドのはり替え

英国のガーディアン紙が米軍のイラクからの「撤退」の本質を暴いています。

(日本語訳:イラク市民レジスタンス連帯委員会)

米国はイラクから撤退するのではない、占領のブランドをはり替えているのだ

シューマス・マイルン   ガーディアン紙 (英国) 2010年8月4日 水曜日

オバマは撤退は予定通り進んでいると言っているが、残存するか外部委託した戦闘部隊はイラク人に国を返しはしないだろう
http://www.uslaboragainstwar.org/article.php?id=22765

英国と米国の大部分の国民にとってイラクはすでに歴史と化している。NATO軍の戦死者が容赦なく増加するにつれて、すでにずっと前からアフガニスタンがメディアの関心の一番大きい部分を奪ってしまっている。イラクに関する議論は今ではほぼ全部イラク侵攻をした元々の決定に集中している。2010年にイラクで起こっていることはほとんど印象に残っていないのだ。

それはバラク・オバマが今週、米国の戦闘部隊は「公約に従い予定通りに」今月末にイラクから撤退する、と宣言したことでさらに強められることになるだろう。英国と米国の多くの報道機関にとっては、これが実際に起こったことなのであった。すなわち、見出しは戦争の「終結」を祝い、「米軍はイラクから撤退へ」と報道したのである。

しかしこれほど事実から遠ざかったものはない。米国はイラクから撤退など全くしていないのである―占領に新しいブランドをはり変えているだけである。オバマが大統領になった時にジョージ・ブッシュの対テロ戦争が「海外の偶発事件の作戦」に名称を変えられたのとちょうど同じように、米国の「戦闘作戦」は来月から「安定化作戦」へとブランドをはり替えられるだろう。

しかしイラクの米軍スポークスマンであるスティーブン・ランザ少将がニューヨークタイム紙に言ったように、「実際問題としては何も変わらないだろう」。今月の撤退後にも94ヶ所の軍事基地になお5万人の米軍が残り、イラク軍に「助言」をしたり訓練をしたり「治安を提供」したりして「テロ対策」任務を遂行するだろう。米軍用語ではそれは米軍のやりたいこと全部を優におさえているのである。

5万人は1年前のイラクにおける兵力の大幅な削減ではある。しかし、オバマがかつて「ばかげた戦争」と呼んだものは執拗に続いているのである。事実、イラクの政治諸勢力がグリーン・ゾーンの町の中で暗礁に乗り上げて5ヶ月目になっている間に、暴力が増加しているのである。市民の殺害はアフガニスタンよりもイラクの方が多くなっている。イラク政府によると先月だけでも535人である。これは過去2年で最悪の数字である。

そしてたとえ米軍が町中ではほとんど姿が見えないとしても、毎月6人の割合でなお死んでいるのであり、米軍基地はレジスタンス・グループによって何度も砲撃を受けているが、その一方でイラク軍と米国が支援する宗派の私兵ははるかに多くの人数が殺され続けていて、アルカイダ―すなわちブッシュのイラクへの贈り物―はイラクの長い帯を横断して活動に戻ってきている。英国ではほとんど知られていないが、今なお150人のイラク国内の英国軍が米軍を支援し続けている。

その一方で、米国政府は占領のブランドのはり替えをするだけではなく、占領の民営化も進めている。占領軍のために約10万人の民間契約雇用者が働いていて、そのうち1万1000人以上が武装した傭兵であり、その大部分は発展途上国出身者を典型例とする「第三国の国民」である。ペルー人1人ととウガンダ人2人の警備会社契約社員がグリーンゾーンへのロケット攻撃で殺されたのはほんの2週間前のことである。

米国は今や、悪名高い米国の警備会社のブラックウォーター社の役割を暴く助けをしたジェレミー・スカヒルがイラクにおける軍契約者が「押し寄せつつある」と呼んでいるものの数を急増させたいのである。ヒラリー・クリントンはイラク全土の5ヶ所の「恒久的駐屯地」に配備するために国務省で働く軍契約者の数だけでも2700人から7000人に増やしたがっている。

外部委託をした占領の利点は、米国兵士以外の誰かがイラクの統治を維持するために死ぬことができるのだから明確である。それはブッシュが政権を去る直前になされた、2011年末までに全ての米軍兵士を撤退させるという公約の抜け道をつくる助けにもなる。別の撤退とは、あらゆるところで広く予想されていることであるが、適切な政府がつなぎ合わせてできてそれが可能となったらすかさず、イラク側が米軍に駐留を続けてほしいと新たに要望することである。

今やバチカン市の大きさを持つ駐イラク大使館を持つ米国がいつでもすぐにイラクを手放すなどと言った意図は持っていないことは明々白々である。その一つの理由は、1958年以前の英国による統治の下のイラクの石油を開発していた3社の英米石油メジャーなどの外国企業に昨年分け与えられたイラク最大の油田を稼働する1ダースもの20年間契約が結ばれたことに見いだすことができる。
これらの契約の合法性があいまいなために動きを抑えた米国企業もあったが、この問題について今度出版する本の著者であるグレッグ・マティットが論じているように、アメリカ側の獲得物は、イラクの石油埋蔵量の60%を長期間の外国企業の支配の下にした契約そのものより大きいのである。もしも石油産出量が計画通りに急速に押し上げられたら、世界の石油価格は大幅に下落し頑固なOPEC[石油輸出国機構]諸国の支配は崩壊するかも知れないのである。
その一方で、戦争がイラク民衆かけた恐るべき犠牲と日常生活で続く恐怖と窮状は、2007年の米軍の増派が「役に立った」とかイラクは結局はうまくいっている、という主張をあざ笑っているのである。

何十万人もが死に400万人が難民になっただけではない。米国(及び英国)による占領が7年を過ぎても、何万人もの人たちが裁判も受けずに拷問され投獄され、医療や教育は劇的なまでに悪化し、女性の地位は恐ろしいほど後退し、労働組合は実質的に禁止され、バグダッドは1500ヶ所の検問所と爆弾防止壁で分断され、電力供給はほとんど止まってしまい、人々は言いたいことを言うのにも命がけである。

3月の国民議会選挙の茶番劇と、立候補者や活動家の禁止や殺害と、それに続く政治の崩壊というものがたとえなくとも、本日のタイムズ紙がやったように、「イラクは民主主義国である」と主張するのは奇怪なことである。グリーンゾーンの政権は米軍と警備会社の契約社員の保護がなければすぐに崩壊するであろう。イラク人と米国当局者の間では最終的に軍事力による乗っ取りが行われるのではないかと予想していることは疑いない。

イラク戦争は米国にとって歴史的な政治上、戦略上の失敗であった。米国はイラクを西欧的価値の灯台か中東地域の警察官に変えるどころか、軍事的解決策を押しつけることができなかった。しかし宗派主義と民族主義のカードを切って、国民的なレジスタンス運動が台頭して屈辱的なベトナム戦争型の撤退することを防ぎもしたのである。イラクと中東地域の支配権を維持するために、米国は新たな形態の外部委託式の半植民地的政権をつくりたがっているという兆候が現れている。イラクの独立を取り戻す闘いはまさに始まったばかりである。