2011年5月11日水曜日

ビン・ラディン殺害・ストップ戦争連合

英国のストップ戦争連合がビン・ラディン殺害について声明を出しています。

(日本語訳:イラク市民レジスタンス連帯委員会)

ビン・ラディン殺害:9/11以来の戦争の10年間でいかに一線を画するか

リンドゼー・ジャーマン ストップ戦争連合全国議長 2011年5月2日

ストップ戦争連合の声明

パキスタンにおける米軍特殊部隊によるオサマ・ビン・ラディンの殺害は「対テロ戦争」の転換点であると熱烈に歓迎されている。この暗殺は、9/11以後の10年近い年月に一線を画するだろう、と主張されている。しかし米国が本当にこの戦争に一線を画したいのなら現在追求しているものとは非常に違った政策を採用する必要がある。

米国軍とその他NATO軍はいますぐアフガニスタンから全軍を撤退しなければならない。ビン・ラディンの捕獲か殺害は、2001年10月に攻撃が始まった時に表明された目的であった―「生死に関わりなくお尋ね者」とジョージ・ブッシュの言葉の中にあった。その時以来、アフガニスタンでは数十万人ではなくても数万人が死に、タリバンが力を回復し、親米政府は世界で最も腐敗した政府である。この戦争には何の正当化もできない。

米国と英国は2001年にビン・ラディンが主張した不満を自ら思い出さなければならない。すなわち、中東に米軍が駐留していること、パレスチナ人に対する扱い、そしてイラクに対する経済制裁の継続である。この不満の全てが過去10年間で悪化した。今ではイラクとアフガニスタンに欧米の軍隊が駐留し、中東全域に米軍基地が配置され、リビヤに対する兵力や空爆などの介入が行われている。パレスチナ人ははるかにひどく苦しめられ、イスラエルによる空中からの攻撃にさらされてきた。イラクは2003年の戦争の結果として全面的な占領にあっている。

戦争はパキスタンに拡大され、ビン・ラディン殺害のような特殊部隊の作戦がおこなわれているだけではなく、無人機の攻撃を伴っていて、何千人ものパキスタン人を殺し、パキスタンに多大な不安定を作り出している。

米国とその同盟国は中東全域の独裁者と専制君主を支援する政策を追求してきた。これらの諸国の国民の蜂起だけが多少なりともその政策を変更させたのであり、現在でも、リビヤで戦争を行いながら、欧米諸国はバーレーンの虐殺やサウジ・アラビアの抑圧に対して目をつぶっている。

リビヤに対する戦争は人道的介入ではなく欧米諸国が―特に北アフリカの旧植民諸国が―この地域の支配権を取り戻そうとしているのである。空爆を即時停止しなければならないし、特殊部隊や顧問を含む全部隊を撤退させなければならない。

こうした政策はテロを終わらせる助けにならずにもっと起こりやすくしてしまった。アル・カイダは10年前にはアフガニスタン以外にはほとんど存在しなかった。今やアル・カイダは中東の多数の国に存在している。最近の事件によってヨーロッパや米国などでアル・カイダによる攻撃がおそらく増加することになるだろう。テロを終わらせる唯一の方法はテロが栄える場所を作る政策を最初に変えることである。