2011年5月11日水曜日

米国戦争抵抗者同盟・ビン・ラディン殺害について

米国の反戦団体・戦争抵抗者同盟(WRL)がビン・ラディン殺害について声明を出しています。

(日本語訳:イラク市民レジスタンス連帯委員会)


ビン・ラディンは法に照らした処罰を受けたのか?

正義もない、勝利もない:平和の名で新たな殺人が行われただけだ

戦争抵抗者同盟(米国) 2011年5月2日

http://www.warresisters.org/binladenmurder

「私は9・11を実際に祝っている人々がいたと聞いて何と恐ろしいことかと考え続けています。そして今、テレビを見ると同じ光景が見えるのです。」

―2001年9月11日にワールドトレードセンターで殺された男性の家族

パキスタンでCIAによってオサマ・ビン・ラディンが殺害されたという報道は正義でも勝利でもなく、祝福の理由にしてはならない。

2001年9月11日から10年近くがたっている。何十万人もの市民が殺された。6000人以上の米国の兵士が殺された。何兆ドルもの資金が浪費された。「対テロ戦争」の中で何万人もの男性、女性、子どもが逮捕され投獄された。拷問が今や米国の対外政策で受け入れられる要素となっている。

ジョージ・W・ブッシュ大統領が米海軍の空母アブラハム・リンカンの艦上で「任務完了」と宣言した後(2003年5月1日)からこの日までに8年間たって、彼はビン・ラディンの殺害を「米国の勝利」だと呼んだ。世界中の首脳がバラク・オバマ大統領と米国への祝福の合唱を増加させた。ニューヨーク市やワシントンDCや全米の他の場所で群衆が集まり、米国旗を振り、愛国歌を歌い、「USA、USA」とくりかえして声を上げた。

この憎しみに満ちた陶酔は国民が正義ではなく復讐に熱中していることを示している。

元々は米国に支援され、現在は米軍の「最大のお尋ね者」の標的リストのトップにいるオサマ・ビン・ラディンとアル・カイダの支持者たちはこうした事態に元気づくだろう。我々の暴力を終わらせようという呼びかけはいわゆる「対テロ戦争」のあらゆる陣営にあてはまるのであり、独立アフガン・フェースブックのページに投稿された反応に共鳴する。

1964年のノーベル平和賞受賞演説の際にマーチン・ルーサー・キングはこう言った。「遅かれ早かれ世界の民衆は平和のうちに共に生きる道を発見しなければならないでしょう…これが達成できれば、人間は全人類の紛争に代わって復讐や侵略や報復を拒否する方法を発展させなければならないのです。」

復讐や侵略や報復を越えて動くのであれば、我々は現在アメリカによって行われている戦争を―宣戦布告をしていようがしていなかろうが―終わらせなければならない。

兵士を帰国させるべき期限は過ぎている。ホワイトハウスは海外の米軍の迅速な撤退を開始しなければならない。

我々は、我々自身の暴力が原因で何十万人もの人たちが死んでいることを正当化するか無視しながら大量殺人の一人の被告の死を祝福してはならない。

戦争の野蛮の中では、その瞬間には考えられなかったことが次には日常茶飯のことになるものだ。我々は今こそ暴力の連鎖を終わらせなければならない。