2010年6月9日水曜日

イラク石油労働者に不当配転攻撃

全イラク石油労組の賃上げ要求に対してイラク政府は組合指導者5人をバスラからバグダッド本社に強制配転して、仕事も与えずにいます。グローバル資本の石油支配にとって労働組合は「悩みの種」なのです。

(日本語訳:イラク市民レジスタンス連帯委員会)

石油省がバスラ精油所の抗議行動の指導者をバグダッドに配転

ベン・ランドゥー  イラク・オイル・レポート
2010年4月25日

バグダッド:
イラク石油省は、2007年以来のボーナスを当然支払われるべきだと主張する労働者によって行われた一連の抗議行動に対抗して、南部製油会社の5人の組合指導者をイラク採掘会社のバグダッド本社に配転した。

労働者は政治家と石油省職員に、家族がまだ住んでいるバスラに戻せと訴えてきた。彼らは、ホテルの部屋代を自費で払わざるを得ず、仕事は何も与えられていないのにイラク採掘会社(IDC)の本社オフィスで仕事もなしで座っているだけだと訴えている。

これがイラクの石油労働組合と組合は非合法だとみなしている政府との間の一連の紛争の最新のものである。

南部精油所会社のスポークスマンのカセム・ラマダーンは2月以来行われている抗議行動の一つが「大混乱になった。エアコンが破壊され、精油所の仕事が止められた。」と言った。

彼は、5人の労働者は破壊活動とされること自体には責任はないが抗議行動の指導者として処罰を受けたのだ、と言った。「ニュースが石油省と石油大臣に届くと、SRC[南部製油会社]の5人のスタッフをIDCに配転するという決定が下された。」とラマダーンは言った。

組合は、労働者は毎年SRC[南部製油会社]が上げる利益の20%を得ることになっているのに、2006年以来、利益の配分を受けていないと述べた。4月いっぱい続いた交渉は時々止められて、そのあと抗議行動が起こったのである。

「会社は約束に従わなかったしSRC労働者とスタッフに対する責任を果たしませんでした。」と配転された5人の労働者の1人であるアラー・アル・バスリが言った。彼は、SRCの経営陣が労働者への支払いを減らそうとして会社の2009年の2300万ドル[約23億円]の利益を半分に過小報告した、と言った。

組合は、彼らの契約が法律上、労働者に利益の再分配を命じていると主張しているにもかかわらず、SRCは契約は労働者に対する配分について決定するとなっているだけだ、と言った。

組合はついにラマダーンと会計部長のカリマー・フセイン・ザジルと経営財政部長のサード・モーシン・アルワンと社長のアブドゥル・フセイン・ナーシルの解任を要求した。

バスリとイブラヒム・ワフドとマジド・アリとカザール・ハマウドとファラジ・ミスバンが今週初めにナジャフの政治家と会った。バスリは、アヤド・アラウィのイラキヤ政治ブロックとサドル党に率いられたイラク国民連合とイラク・イスラム最高評議会、そしてヌーリ・アル・マリキ首相の法治国家連合の幹部と連絡を取ったと言った。

バスリは、法治国家連合は前向きな返答をしなかったと言った。「それは驚きではありません。(イラクの石油大臣のフセイン・アル・)シャハリスターニは法治国家連合出身ですから。」

SRCの組合員は5人の配転に対して抗議行動を呼びかけているが、バスリは自分は労働者が逮捕されることを恐れている、と言った。

イラク南部の石油部門全体で行われた過去の抗議行動やストライキでは、労働者は治安部隊に包囲され、指導者には逮捕令状が発行された。政府当局は、ストライキを続けることが国家を混乱させるテロか他の手段であると見なしてきたのである。

2003年のアメリカによる侵攻以後も効力を持ち続けている数少ないサダム時代の法律の一つは、大部分の政府職員が独立した労働組合を結成することを禁止している。石油労働者は他の産業と同様に、この法律を無視して、かつては政府によって支配されていた自分たちの労働組合を即座に自分たちの手中にした。

2005年のイラク憲法は労働者の権利を尊重する新しい労働法の制定を要求しているが、労働法はイラク国民議会に一度も提案されたことはない。

「私たちはいつも石油大臣や石油省や閣僚会議の事務局長から、非合法で憲法違反の団体、労働組合であると非難されます。」「彼らは私たちの活動を規定する法律ができなければならないとも言います。しかし、彼らがこの法律を作るのはいつになるのでしょうか?あと7年も、それ以上もかかるのでしょうか?」とバスリは言った。

イラクの石油省と産業省は労働組合と正式に交渉するなという命令を出した。労働組合は政府にとっては悩みの種となっていて、教員や医療労働者が賃上げを勝ち取った全国連帯ストライキなど、ほとんどが成功した抗議行動を展開しているのである。

2007年と2008年を通じた石油部門での抗議行動は、労働組合が外国企業にあまりに多くの支配権を与える物だと見た石油法案の制定を引き延ばしたナショナリズムを高めることに貢献した。
「我々は仲間と共に活動を続け、労働者の権利を守るという原則については決して妥協しません。」とバスリは言った。
※イラク・オイル・レポートのバスラとバグダッドのイラク人スタッフがこの記事に貢献したが、安全上の理由から匿名とする。