2009年7月6日月曜日

USLAWがイラク労働者の権利要求署名呼びかけ

アメリカの反戦団体USLAW(米国反戦労働者の会)がイラクの労働者の権利を守るため、クリントン国務長官当て署名を呼びかけています。
(以下、日本語訳:イラク市民レジスタンス連帯委員会)

ヒラリー・クリントンにイラクの労働者の権利をはっきり要求させよう。請願書に署名しよう

 2003年のイラク侵攻以来、アメリカ政府とイラク政府は全ての公共部門と企業の職場における労働組合と団体交渉を禁止するサダム・フセインが制定した1987年の法律を施行し続けてきた。
 イラクの労働組合は(大変な危険を冒し大変な犠牲を払って)組織化をしてきたが、労働基本法の保護は全くない。イラクの憲法が保護を要求し、イラクは団結権と団体交渉権に関する国際労働機構[ILO]条約加盟国であるにもかかわらず。
 労働組合の指導者や活動家は、嫌がらせや殴打、逮捕、拷問や暗殺さえされるといった被害に遭ってきた。組合事務所はアメリカ軍とイラク軍によって襲撃され破壊されてきた。組合の銀行口座と財産は凍結されている。この全てのについて、アメリカ政府は沈黙してきた。

 米国反戦労働者の会は、政府の外交政策の最高責任者であるヒラリー・クリントン国務長官に対して、イラクの労働者の権利をはっきり要求し、イラク政府に、労働者と労働組合の権利を尊重し守るように圧力をかけるように要求する請願書を掲示した。
 どうか時間を取ってイラクの勇敢な労働組合と労働者に連帯する国際運動にあなたの声を付け加えていただきたい。
 イラクの労働者の権利を強めれば、まさに米国内における労働者の権利のための我々の闘いもまた強めるのである。
イラク政府に労働者の権利を尊重させよう

ヒラリー・クリントン 米国国務長官 様
ワシントンDC

クリントン長官:
 軍事占領をして6年以上が経過して、4300人以上のアメリカ人と、100万人かそれ以上ものイラク人の命が失われました。米国政府は納税者の資金を6500億ドル[約65兆円]近くも使いました。それなのに、イラクにおける真の民主主義というのは、いまだに現実と言うよりはむしろ願望のままです。
 社会の根本的な基礎の一つ(すなわち政府の介入や支配や嫌がらせや弾圧を受けないで、自らの選択によって労働組合に加入する労働者の権利)がない、という事ほどにその事を示しているものはありません。

 独裁政権崩壊のほとんど直後に、活発な独立した民主的で多元的な労働組合運動が勃興しました。2003年の侵攻直後に、アメリカはサダム時代の抑圧的な法体系の大部分を廃棄しました。しかし法律の条文に残し続け熱心に執行した法律が一つありました―すなわちサダム・フセインが押しつけた1987年の法律で公的部門と公的企業の労働者が労働組合に加盟したり雇用条件について交渉することを非合法化していました。その次のイラク暫定占領当局はこの非民主的な労働者の権利否定を押しつけ続けました。
 新しいイラク政府は労働者と組合の権利にさらに制限を押しつけました。労働組合の銀行口座を差し押さえ組合財産を凍結したのです。アメリカ軍とイラク軍は組合の事務所を襲撃して略奪し、組合の指導者を襲撃し逮捕しました。石油産業などの公的企業の経営者は組合を認知したり組合と交渉したりしないようにと指示されました。
 しかし、イラクの労働運動は、嫌がらせや殴打や誘拐や逮捕や拷問や組合活動家を殺害される、といった中でも成長し続けています。
1935年のワグナー法の制定以前の米国労働運動を思い起こさせるのですが、イラクの労働者は争議を解決し自らの権利を守るためにストライキや作業停止という手段に頼らなければなりませんでした。
[ワグナー法は不当労働行為の規定を定め、労働組合が経営者と団体交渉をする権利を促進した。]
 新しいイラク憲法は、結社の自由を筆頭に、労働者の権利の尊重を約束しています。
イラク憲法第22条第3項は述べています:「国は職能団体や労働組合を結成し加盟する権利を保障する。これは法律によって構成されるだろう。」
 イラクは組合結社と団体交渉の権利に関するILO第98号条約に1962年に加盟しており(皮肉なことに米国はこの条約をまだ批准していません)、従って国際法の下で条約上の義務を課しています。
 こうした基本的な労働者の権利と人権に対する違反は、米国政府のイラク当局に対する批判がないところで起こっています。
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 米軍の撤退期限を設定した駐留米軍地位協定は国際的に認知された労働者の権利を尊重する義務を課していません。今や、米国政府がイラク労働者の権利を要求する声をはっきり上げるべき時です。
我々は米国政府に要請します:
 イラク政府に以下を行うことによってイラク憲法と国際条約の条項に従うように要求してください。
 ・ILO条約によって規定されている結社の自由の権利と他の労働者の権利を尊重すること。
 ・イラクの労働組合に対するあらゆる弾圧をやめること。
 ・組合指導者や活動家に対する嫌がらせをやめること。組合の資金と財産を解放し、組合が通常の活動をすることを認めること。
 ・公的企業と政府の管轄区域の経営者を指導して労働者によって自由に選出された労働組合を認知し団体交渉を行わせること。
 ・イラクの法典の中に労働者の権利と義務を明記した労働基本法を即時に採択すること。
・米国政府は以下の文書に明記されているようにこの状況に関する情報を完全に知らされること。

イラクにおける人権の実践状況に関する国務省の2008年国別レポート

・AFL-CIOと国際労働会議

イラクの労働組合によってILOに提訴されている苦情
イラクの労働社会問題省は、1987年の法律と2005年の命令を廃棄するために国際労働機関(ILO)と共に国際法に従った現代的な労働法を準備していた。イラク閣僚評議会はその法律を押さえ込み、イラク国民議会はその草案を取り上げたことはない。旧来の反労働者的な法律と命令が実行され続けている。(IFC-CIO/ITUC)

【IFC-CIO:アメリカ労働総同盟-産別会議】
【ITUC:国際労働組合総連合。世界157の国・地域の312組織を通じて、約1億7,000万人の労働者が加盟(2008年12月現在)】