2008年3月30日日曜日

アメリカ政府とその同盟国の蛮行5周年に当たっての世界の反戦・反占領運動へ

サミール・アディル イラク自由会議議長 2008年3月18日

 3月19日の記憶は世界中で恐怖を作り出している。この日、人類は自分たち
の運命がアメリカ政府の一握りの犯罪者と吸血鬼の手中にあるということを知る
のである。3月19日は、自由や市民の権利や人間の尊厳というものは、アメリ
カと世界のその同盟者たちの企業マフィアどもの利害にとっては何の価値もない
のだというメッセージである。
 5年がたった後、イラクに対する戦争と占領を始めた当時ブッシュ/チェーニ
ー政権によって宣伝された大量破壊兵器に関するウソが暴露された。サダム・フ
セインは今日のイラクほど隣国に危険なものではなかったが、イラクは中東地域
と世界にとっての危機が一触即発になっている。今日、イラクは世界にテロを輸
出する最大の基地となり、テロリスト・グループが自分たちの問題の決着をつけ
るための戦場になってしまった。もっと悪いことは、宗派間紛争と人間的な価値
に基づかない民衆の分断というイラク型モデルが中東諸国のモデルとなったこと
である。言い換えれば、イラクはブッシュとコントレーザ・ライスによって伝道
されている大中東圏構想のモデル案なのである。その上、宗派間紛争の炎はイラ
クの近隣諸国を巻き込み、歴史に逆行する考えのグループが状況を利用している
のである。
 およそ100万人の命が奪われ、400万人以上のイラク人が国内外で住みかを追わ
れ、失業率は60%以上であり、極端な貧困が何百万人もの子どもや女性や男性を
打ちのめしている。その上、イラクの何十億ドルもの富が略奪され、チェーニー
の企業仲間や宗派主義民兵のポケットに入れられるのだ…。
 今も吹き荒れている5年間の戦争の経験が教えているが、戦争前夜にロンドン
やローマやパリやマドリードや東京やニューヨークやトロントやシドニーの街頭
に出た何百万人もの人々は血に飢えたアメリカ政府がその野蛮な政策を実行する
のを止めることはできなかった。
 我々の運動の弱点は、1年間にせいぜい1回か2回この痛ましい開戦日を思い出
すことのみに自分たちの力を示していることであり、その一方で、アメリカ政府
はイラクの民衆を殺す軍事機構を毎日誇示しているのである。アメリカ政府は中
東地域と世界中で新しい掟と構想を押し付けている。アメリカ政府は自分の利益
を守るために宗派主義グループ(シーア派とスンニ派のイスラム政治勢力)を支
えている。バグダッドのライアン・クロッカー米国大使は宗派主義民兵に500
万ドルを与えているが、民兵たちは出自に基づいて人々を殺し、毎日家の中にい
ることを強制するために女性を殺害しているのである。
 反戦運動は「戦争にNO」というスローガンを掲げるだけで、それで十分だと
考えている。しかし、イラクには成長しつつある運動が存在するのであり、それ
は毎日占領軍とイスラム政治勢力やテロリスト・グループに対峙し、「シーアで
もない、スンニでもない、我々は人間だ」と「占領にNO、宗派主義ギャングに
NO」というスローガンを掲げている。この運動は占領軍を追い出しテログルー
プをイラクから一掃するために毎日闘っている世界の反戦運動の一部である。こ
の運動は反戦運動の先頭に立つ自由擁護勢力の支援を必要としている。MDS(民主
主義的社会主義運動)と全交(平和と民主主義をめざす全国交歓会)を先頭とする日
本の反戦運動は、イラクの自由擁護の運動に限りない支援を提供してきたし、そ
の地位に質的な変化をもたらした。このモデルは、イラクと中東地域の政治的均
衡を変えることが可能なのである。
 もしもイラクにおける自由擁護の政教分離の代案がなければ、占領は終らない
だろう。イラク自由会議のような進歩的な自由擁護勢力によって占領軍を打ち負
かすことは、中東地域と世界の政治地図を変える第一歩である。ビン・ラディン
であろうがイランのムラー[イスラム法学者]どもであろうが、イスラム政治勢力
による占領軍の打倒は、世界を大混乱とテロの最大の渦の中に投げ込むことを意
味するに過ぎない。
 もしも世界の反戦運動が国家テロを終らせたいのなら、選択肢は一つしかない
―国家テロは、アメリカ政府や西洋諸国の政府やイスラム主義グループがちょう
ど行っているのであり、イラク国内の自分の同盟者を支援して資金を提供してい
るのである。言い換えれば、イラクの自由擁護運動を支持することが、平和運動
が勝利を得る唯一の道であり、イラク自由会議はその先頭に立っている。
 我々が(2005年)3月19日をイラク自由会議結成の日に選んだのは、我
々がイラクから占領軍とテログループを追い出し、人間を人間として生まれたこ
とをもとに規定する政教分離した国家と政府を設立するために活動すると決意し
ていることを世界に示す明確なメッセージだったのである。