2009年8月11日火曜日

イラク:悲惨で衝撃的な公式統計

イラク占領支配の被害の最近の報告です。イラク占領以来の死者を250万人、国内外難民を合計650万人としています。ものすごい被害です。国民の少なくとも40%(おそらく55%以上)は貧困線以下の生活です。
その一方で支配政党の政治家どもがどんなに大金持ちか!腐敗しきっている傀儡政権の実態もよく分かります。
(以下、日本語訳・イラク市民レジスタンス連帯委員会)
http://www.uslaboragainstwar.org/article.php?id=20058

イラク:悲惨で衝撃的な公式統計
サバフ・アル・バグダディ、 パレスチナ・シンクタンク
2009年8月7日
アラビア語からの翻訳と翻案:カリール・ナクレフ
以下の2008年11月までの政府公式統計はアメリカによるイラク侵略と占領以来イラクで広く起こった悲惨な状況を明らかにしている。

1.夫を失ったイラク人女性は100万人である(イラク女性問題省による)。

2.イラクの孤児は400万人である(イラク計画省の推計による)。

3.250万人(2,500,000人)のイラク人が殺害された(保健・法医学省による)

4. 80万人のイラク人が様々な支配政党と関係した秘密の拘束場所で行方不明になった(イラク内務省に申し立てられた訴状による)。

5.アメリカ軍の刑務所やイラク政府の刑務所やクルド地方の刑務所で34万人のイラク人の囚人が裁判手続きを受けないで拘束されている(イラクやアラブや国際機関や国連の人権組織や機関による)。アメリカ占領軍は自らの刑務所に入っているイラク人拘束者の数は約12万人であることを公式に認めている。

6. 450万人(4,500,000人)のイラク人がイラクの国外難民になっている(パスポート局長によるパスポート(カテゴリーC)の申請者の統計による)。

7. 250万人(2,500,000人)のイラク人が国内難民になっている(イラク難民省による)。

8.イラクの登録されたエイズ患者は7万6000人である:イラクへの侵略と占領の以前にはエイズ患者数は114人を超えなかった(イラク保健省による)。

9.若者の間でイランから輸入された中毒性の麻薬の使用が驚くべきほどに広がっている(イラク保健省及びドラッグと中毒と闘うセンターによる)
 私は、強い中毒症状をもつ麻薬を輸入する方法や、政府に属する政党や宗派の私兵に全面的に支配されている南部地域の様々な貯蔵場所にどうやって集めているのか、また政府当局者がこれらの麻薬からの利益で、選挙資金を貯え、いかに票を買い取り(買収し)、支持や沈黙を獲得しているかについて、一連の詳細な記事を書いてきた。

10.イラク侵略と占領以来、結婚は4件中3件の割合で離婚に終わっている(イラク保健省による)。

11.イラク国民の40%以上が貧困線以下の生活をしている(イラク人権省による)。しかし、実際の比率はもっと高く、55%を上回ると私は確信している。

12.UNESCO[国連教育科学文化機関]当局者の発表によると、基礎教育と高等教育の水準と質が低下したために、UNESCOはイラクの高等教育機関(大学と専門学校)によって発行された学位の認定を拒否するに至った。

13. 何万という偽造された大学の学位が政府高官や高い地位の将校や社長や政党の上級幹部に与えられている(イラク公正透明化委員会の声明と統計による)。

14. 約550の政治団体と政党連合が存在しているが(イラク独立公職選挙委員会による)、今日の段階では、これだけの多数の政治団体を規制する法律はない。

15. 約1万1400の市民社会組織が存在する(イラク内務省、法務省、社会福祉省による)。これらの組織は公表されていたり秘密にされている目的を持っているが、それがいかなる組織で、収入をどのようにして得ているのかは不明である。

16.外国のシークレットサービス会社に支配されていてイラク内務省に登録されている警備保障会社は126社ある。これらの会社の明らかにされている目的は、外国の大使館や外国の外交官や訪問するVIP[重要人物]を守ることである。しかし、彼らの隠された目的は知られていない。この場合、様々な支配政党の治安機関に加えて、今日イラクで武装した100万人の人間を、国防省や内務省や様々な政府治安機関に配置することにどんな価値があるのだろうか。

17.政党と関係を持つ公式に登録された武装私兵部隊は43ある。

18.外国の諜報機関が資金を出している新聞やメディアの出版物は220ある(イラクジャーナリスト協会による)。こうした出版物の具体的な目的は、イラク人を洗脳することであり、イラクを崩壊させて宗派主義と地域主義と民族主義のいくつかの小国家に変えてしまうことを目的とした様々な計画を考えるように国民を動かすことであり、イラク国民としての一体性を破壊することである。

19.外国の諜報機関が資金を出しているテレビチャンネルが45局ある(ナイルサットとアラブサットの衛星放送サービス配信会社の経営者の声明による)。

20.外国の諜報機関が資金を出しているすラジオ局が67ある(イラク情報委員会の声明による)。

21.4つのデジタル通信ネットワークがあるが、それぞれの推定価値は120億ドル[1兆2000億円]であり、政党指導者を支持して資金が出されている。その中には以下の企業がある。
*コルク社はマサアウド・バラザーニ(クルディスタン地区議長)が独占的に所有している。
*アッシア社はジャラル・タラバーニ(イラク大統領)が独占的に所有している。
*ゼイン社(クウェート)は、アフマド・チャラビとイスラム政党のダーワ党が50%所有している。[アフマド・チャラビはイラクに大量破壊兵器があるという偽情報を流してイラク侵略の口実を作った。イラク統治評議会の議長に就いたがアメリカに見放されて失脚。]
*アジール社で、アブデル・アジス・アル・ハキムが独占的に所有している。[ハキムはシーア派のイラク・イスラム最高評議会の指導者]

22.公式及び非公式の政党本部が1万1400以上ある。これらは偽装契約企業かNGOか政治団体の本部であるかも知れない。しかしながら、これらの本部は実際には正当な所有者が排除されて、立ち退いてどこか他に避難場所を見つけざるを得なくなった後に接収されたイラク政府の公有の敷地である。全てイラクの国家予算から支払いが行われているのである。

これはアメリカのイラク侵略と占領以来、「アメリカの新しい民主主義のイラク」のなかで起こっていることの氷山の一角に過ぎない。
この記事の原文は2009年7月30日www.kanaanonline.org, no. 1973に掲載

サバフ・アル・バグダディは独立のイラク人ジャーナリストで研究者
翻訳と翻案:カリル・ナクレフ博士
カレル・ナクレフ博士は独立のパレスチナ人研究者で開発コンサルタント